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名画座〈新文芸坐〉で最も上映された作品とは?一位は“あの”名作でした

街の小さな映画館では、どんな作品が繰り返し上映されてきたのか?残っている記録を調べ直し、その上映回数を基にランキングを作成。上位作品について、作品を選びプログラムを組んできた目利きたちが思うこととは。

photo: Jun Nakagawa / text&edit: Ryota Mukai

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新文芸坐が上映してきた上位10作品

1位
浮雲 (’55)
軍旗はためく下に (’72)

3位
日本のいちばん長い日 (’67)

4位
惑星ソラリス (’72)

5位
流れる (’56)
雪国 (’57)
江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 (’69)
仁義なき戦い (’73)
イノセンス (’04)
マッドマックス 怒りのデス・ロード (’15)

〈新文芸坐〉がオープンした2000年以降の上映記録、15,000作ほどを基に集計。長らくソフト化されてこなかった『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』は名画座のクラシックでもある。

邦画の古典から絶叫ムービーまで、“雑多”な10本

2本立てを中心に、声出しOKの“絶叫”上映などのユニークなイベントでも知られる〈新文芸坐〉。
前身の〈文芸坐〉から数えて70年近い歴史を持つ。ランキングには日本映画の古典を軸に、SF、ホラー、2000年代のアニメまで幅広いジャンルの作品が揃う。「雑多なトップ10ですね(笑)」と番組編成を手がけるマネージャーの花俟良王さん。

「『浮雲』は成瀬巳喜男・高峰秀子コンビによる日本映画を代表する一作。監督や女優の特集には欠かせない作品の一つです。深作欣二『軍旗はためく下に』と岡本喜八『日本のいちばん長い日』は、毎年終戦の日前後に上映する“反戦映画”特集の大定番。近年では塚本晋也監督の『野火』も増えていますね」

アンドレイ・タルコフスキー『惑星ソラリス』には、劇場ならではの理由も。「洋画には上映権の問題があります。その権利は配給会社が持っていて、失効したらどこかが買うまでは上映できません。数年単位の契約が多い中、本作は特殊で、権利を何十年と保持している会社があるんです。だから好きなときに上映できる。当館ではオールナイト上映の鉄板。

同じくオールナイトでは押井守監督特集で掛けるアニメ映画『イノセンス』も人気で、近年では監督に登壇していただけることも。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は声出しできる上映スタイルを確立した、興行的にも重要な一本。とはいえ、この7年ほどでトップ10入りするほど掛けているとは(笑)」

東京〈新文芸坐〉の花俟良王
「『浮雲』は観るときの年頃によって印象がガラッと変わるんです」と花俟さん。

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