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名画座〈早稲田松竹〉で最も上映された作品とは?一位は“あの”名作でした

街の小さな映画館では、どんな作品が繰り返し上映されてきたのか?残っている記録を調べ直し、その上映回数を基にランキングを作成。上位作品について、作品を選びプログラムを組んできた目利きたちが思うこととは。
ブルータス「何度でも観たい映画。」にも掲載中の「早稲田松竹が上映してきた上位5作品」の拡大版として、上位10作品をご紹介!

text&edit: Ryota Mukai

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早稲田松竹が上映してきた上位10作品

1位
ニュー・シネマ・パラダイス(’88)

2位
ベルリン・天使の詩(’87)

3位
ミツバチのささやき(’73)

4位
不思議惑星キン・ザ・ザ(’86)
ケス(’69)
パリ、テキサス(’84)
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(’99)

8位
勝手にしやがれ(’60)
ミスティック・リバー(’03)
ショーシャンクの空に(’94)

1993年以降に上映された延べ約3000作をもとに集計。クリント・イーストウッド監督『ミスティック・リバー』は、新作公開の折にしばしば併映。今でも公開当時のフィルムが使用されている。『ショーシャンクの空に』は、2003年以降当館での上映は0。約10年でランキングに入るほど、当時何度も掛けられてきたことがうかがえる。邦画ではアニメ映画『パプリカ』が上位に入った。

2本立てを彩ってきた、世界各国の名作たち

創業70年を超える、老舗の2本立て名画座。上位3作のイタリア、西ドイツ、スペインをはじめ、ランキングには世界各国の作品が揃った。そんななか、『ベルリン・天使の詩』『パリ、テキサス』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』とヴィム・ヴェンダース監督作が3つもランクイン。「好きな監督のひとりなので、上映しすぎないよう気をつけています(笑)」と、番組編成を務める上田真之さん。

「例えば『ブエナ・ビスタ』なら、音楽映画であり、ドキュメンタリーであり、ロードムービーとしても観られる、といったように様々な楽しみ方ができるから、2本立ての組み合わせも多様。結果として上映回数も増えていますね」。

監督特集の2本立ても鉄板。ヴェンダースなら『ベルリン・天使の詩』『パリ、テキサス』、ビクトル・エリセ監督なら『ミツバチのささやき』『エル・スール』、ジャン=リュック・ゴダールは『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』といった具合。“カルトSF”の括りで、『不思議惑星キン・ザ・ザ』と『未来世紀ブラジル』、あるいは『ひなぎく』と併映するのもこの館のクラシックだという。

一方でひねりの利いたこんなセレクトも。「『ニュー・シネマ・パラダイス』は『アーティスト』と併映しました。イメージは“映画のバックステージ”です。『ベルリン・天使の詩』は『暗殺の森』と掛けたこともありますね。前者の主演ブルーノ・ガンツと後者の監督ベルナルド・ベルトルッチの追悼上映でした」と、まるで映画大喜利。

「作家性がある作品は大切にしています。そんな監督の一人ケン・ローチの『ケス』は、配給を通さずに当館で上映権を買ったこともあるんです。また、早稲田大学が近い土地柄、再映するなら、学生生活が一巡する約5年は間を空けようと心がけています」

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