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小さな街を散歩しながらハシゴ酒。幡ヶ谷の6軒

新しく人の流れができてハシゴ酒コミュニティができているエリアに、流れた時間が味わいを生んでいる古くからの酒場街。私たちの日常にとっての酒場のありがたみを感じさせてくれる一軒を。

Photo: Satoko Imazu / Text: Yoko Fujimori

焼肉からバーまで
商店街のみの新スポット!

2015年、〈パドラーズコーヒー〉が本店を構えて以降、注目を集める西原エリア。家賃が高騰した代々木上原方面から逃れ、拠点を移す店も増えている。

最近はナチュラルワインを軸にした新店舗の登場が続き、その先駆けと言える17年オープンのナチュラルワイン専門店〈flow〉は、今や界隈のハブ的存在に。店主・深川健光さんの人柄も相まって、角打ちは連日満員御礼。幡ヶ谷で飲むならまずはここを詣でたい。

〆の一杯は味のあるマスターが待つ六号坂通り商店街の奥の奥へ。甲州街道を股にかけて、幡ヶ谷クルーズを!

〈flow〉

ナチュラルワイン専門店〈flow〉。グラスは¥1,000前後〜。

〈焼肉ホルモン さぶちゃん〉

最高ランクの肉をつまみに手酌でワイン!

飯田橋のナチュラルワインビストロ〈ル・ジャングレ〉の有澤貴司シェフが新たに挑んだのが、炭火焼肉・ホルモンの世界。多くの生産者と強い絆で結ばれる有澤さんらしく、大切に育てられたブランド牛を、ロスを出すことなく消費したいという思いからだ。

例えば、ホルモンは山形の〈佐藤畜産〉から仕入れる米沢牛で、脂の甘味に驚かされる。タンをチルドで保存し、包丁で厚めに切った生タン塩は格別の瑞々しさ。週替わりのスペシャルメニューには、国産のラムなど稀少肉も登場する。肉のカットは宮城の焼肉店や食肉加工所で経験を積んだ料理長の渡邉恭介さんが担当し、テールスープなどの料理部門も一手に担う。

お酒の目玉は、お得意のナチュラルワイン。冷蔵庫からワインをセルフで選ぶスタイルや、見事に居抜きのインテリアも手伝って、驚きのお値打ち価格を実現している。

お食事コース¥2,000、¥3,000、¥4,000もあり。ワインは“肉に合う”目線で選んだ60〜80本、ボトルのみで¥3,000台〜。純米酒のカップ酒¥680〜も人気。

〈will o’ wisp〉

料理も器も自由でボーダレスな新生ビストロ。

パリの〈Passage 53〉やNYの〈Battersby〉などで経験を積み、代々木上原〈PATH〉の立ち上げから3年ほど料理人を務めた光安北斗さんが、ワインビストロを開いた。幡ヶ谷駅南口からすぐの好立地。カメラ店だったという開放感のあるこの場所に一目惚れし、開業を決意した。

料理はフレンチをベースに、ブラジルやアフリカの郷土料理など、修業時代に出会った味を取り入れた多国籍。例えば居酒屋の大定番・ポテサラも、フレンチのソースでアレンジするなど、日々ひとひねり。ウフマヨやフレンチフライといった伝統のビストロ料理も、有田焼や唐津焼、九谷焼などの和食器に盛り付け、この店ならではの景色を作る。

“料理本位で”選んだナチュラルワインは仏&伊が中心。このボーダレスな感性が求心力となって、界隈を盛り上げる存在になっている。

ほかにウフマヨ¥660、牛脂100%のフライドポテト¥880なども。クラフトビール¥1,100、ワインはグラス¥1,100〜、ボトル¥7,040〜。

〈SUPPLY〉

白暖簾をくぐって一杯
大盛況のワイン居酒屋

2019年1月に甲州街道沿いにオープンして以来、連日満席のイタリア酒場。店主はイタリアン一筋のシェフ・小林隆一さんと、三軒茶屋〈uguisu〉や渋谷〈BUCHI〉などのナチュラルワイン畑で経験を積んだソムリエで妻の希美さん。

夫妻が目指すのは、居酒屋のように普段使いできる店。白暖簾を掛けているのはその心意気の表れだ。だから「ちょっと一杯」も大歓迎。

メニュー表には自家製コンビーフやポルペッティ(肉団子)などつまみになりそうな品がギッシリとオンリストされている。希美さんが選ぶワインは仏&伊を中心にチェコやニューワールドまで250本ほどストック。白、赤、オレンジにペティアンと、グラス用にバランス良く開けてくれているのも嬉しい。以前ラーメン店だったというこの物件。カウンターでさっと飲んで立ち去る使い方が、しっくりくるのもそのせいだ。

ワインのグラスは毎日10種類ほど、¥880〜¥1,650。ボトルは¥5,000〜¥7,000台がメイン。塩漬けレモンサワー¥715も名物。人気店のため予約が確実! 

〈PAVONE INDIANO〉

カレーの「あたま」で
レモンサワーを飲む至福

六号坂通り商店街の突端に近い場所で、アンバーな光を灯すダイニングバー。イタリアンの世界で経験を積んだ店主・黒川幸一さんが、次第にスパイスの魅力に惹かれ、現在のようなイタリア meets インドなメニューが完成した。

例えば看板料理のクミンが香るラムキーマのカレーに合わせるのは自家製フォカッチャ。カレーのルー(あたま)をアテにサワーを飲む、そんな大衆居酒屋のような楽しみ方だってできてしまう。

定番料理のパテも、豚肩肉やレバーをベースにクミンやアンチョビ、パクチーなどを加え、イタリアとインドを行ったり来たり。こうした料理に合わせ、スパイスたっぷりの自家製サワーや、セラーにはイタリアやインドのワインが用意されている。ちなみに店名はイタリア語で「インドクジャク」の意。“スパイスで飲む”気持ちよさに目覚める一軒だ。

カレーやパテはテイクアウトも可。お酒はほかにイタリアビールのモレッティ¥770なども。ワインはグラス¥770〜、ボトル¥4,400〜。

〈MEM HATAGAYA COFFEE BAR〉

常連客が集う
自家焙煎のコーヒーバー

喫茶店とバールを愛するスキンヘッドのマスター、ナカシバ ムネヒロさんが静かに営むコーヒーバー。店はカウンター8席のみ、奥の小さな厨房で、アメリカ製の小型電熱式焙煎機で自家焙煎する。

豆はエチオピア、ケニア、ブラジル、ゲイシャの4種類が基本で、注文が入るごとにハリオのドリッパーでハンドドリップ。アルコール類はこのコーヒーを使ったカクテルに加え、「エチオピアコーヒーラム」など自家製スピリッツも。ケニアのコーヒーとハーブが香るトニックを合わせた「MEM SONIC」は、爽快感があるこの店のシグネチャーだ。

店は15時オープン。昼からカクテルを飲んでもいいし、逆に深夜にドリップコーヒーを注文するのもOK。ほの暗い店内は最初は少々敷居が高く感じるけれど、マスターと心を通わせれば居心地よし。カフェインのせいなのか、クセになる店だ。