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小さな街を散歩しながらハシゴ酒。門前仲町の3軒

新しく人の流れができてハシゴ酒コミュニティができているエリアに、流れた時間が味わいを生んでいる古くからの酒場街。私たちの日常にとっての酒場のありがたみを感じさせてくれる一軒を。「地元愛が人と酒を繋ぐ、抜群に愉快な深川飲み〜清澄白河〜」も読む

Photo: Satoko Imazu / Text: Yoko Fujimori

〈CACAOTAIL〉

ペアリングも体験できる
大人のチョコレートバー

自家製のビーントゥバーチョコレートを使ったカクテルや、アルコールとのペアリングが楽しめる稀少なチョコレートバー。店主であるバーテンダーの萩原陽介さんは、ウイスキーとチョコレートの相性の良さにかねてから興味を持ち、この店を開いた。

品質の良さに感銘を受けたという「カカオハンター」小方真弓さんのコロンビア産カカオを中心に、吟味したカカオ豆を使い、砂糖のみでチョコレートに仕上げる。パティシエが手がけるオランジェやタブレット、サラミチョコレートなどを、ウイスキーや赤ワイン、日本酒などと合わせ、複雑でふくよかな風味の広がりを楽しむペアリングを提案。

チョコレートを使った完成度の高いシグネチャーカクテルは、萩原さんの真骨頂だ。深川ホッピングの〆は、サラミとピートの効いたウイスキーで余韻に浸るのも悪くない。

チャージ¥500。ほかに自家製チョコレートのカクテルは、カカオテール¥1,600など8種。ウイスキーも豊富に。

〈宮澤商店〉

読書推奨
同業者も慕うビール専門店

2012年にオープンした、門仲エリアでのクラフトビールの先駆的一軒。店主・宮澤善之さんの地元である信州の醸造所を中心に、日本各地のクラフトビール8種と、徹底した品質管理と専用グラスで提供するアサヒスーパードライの全9種類。

グラスの洗浄、サーバーの管理、注ぎの技術で完成する一杯は、味わいもひとしおだ。ひたし豆や野沢菜漬け、信州豚のシャルキュトリ、長野の農園から届く野菜で作るお浸しや白和えなど、信州尽くしのつまみもウマい。だしの風味がじんわり広がるひたし豆をつつきながら、柑橘香るIPAを飲む充足感ときたら……! 

また、店内には本棚があり、「読書をしながら飲む」のを提唱するのも本好きの店主ゆえ。だからハシゴ酒のスタートに軽く一杯もいいし、本を片手に腰を据えて飲むのもOK。同業者も惚れ込む、大人が静かに飲めるいい店だ。

野沢菜漬¥400、肉系つまみは¥600〜。ビールはエール、スタウト、ヴァイツェンなどバランス良く揃え、ハーフ¥780、1パイント¥1,200。

〈焼き鳥専門店 Apollo〉

アメ車愛と下町魂が宿る
本格炭火焼き鳥

生まれも育ちも門前仲町、江戸文字の使い手でもある店主、柳澤大輔さんが営むソウルフルな焼き鳥バー。店名は主人の生まれ年の一大ニュースから。店内はアメリカンなグッズで埋め尽くされ、BGMは店主が敬愛するクレイジーケンバンド。この環境で炭火の本気の焼き鳥を出すギャップが、多くのリピーターを生んでいる。

炭は土佐の備長炭、鶏肉はブランド鶏をパーツごとに吟味して仕入れる。まずは基本の5本セットがおすすめ。自家製タレも用意するが、「最初は職人魂がわかる塩で食べてみて」と柳澤さん。

確かにソリの弾力やヒップの脂肪の甘味、白レバーのふくよかさと、部位ごとの旨さが塩で際立つ。きっぷのいい大ぶりな串と良心的価格も深川っ子の心意気。アメ車、音楽、祭りと店主の好きなものが詰まった焼き鳥店は、不思議に芋焼酎のロックが似合うのだ。

ほかに焼き鳥はカブリ、ウィング、ハツモト(各1本¥250)など12種ほど、野菜各種も。10席のみのため予約が確実。