選んだ人:田中淑鏡知さん(36チャンバーズ・オブ・スパイス 代表)、竹田太造さん(スペーススパイス 代表)、野村茂宏さん(エース 経営企画室)、編集部スタッフ
18:ラッサム
スパイスカレーが市民権を得る前、2003(平成15)年に自店を開業した伊藤一城シェフ。南インドのミールス(定食)の付け合わせ、トマトやタマリンドを香辛料で風味づけした薬膳スープ・ラッサムを日本の米に合うカレーに昇華させた。「伊藤シェフの発想は、今もなお斬新に映ります」(竹田)。野菜の旨味とスパイスの香味の調和に、やみつきになる。
19:2050年カレー ガーリックチリ
「2050年には、世界的に食料の需給が逼迫して“肉”がなくなる……⁉」。SDGs(持続可能な開発目標)も叫ばれるなか、将来の危機の備えはカレーで!という発想で生まれた商品。植物性の代替肉・大豆ミートを用いたカレーは、肉に負けずとも劣らない食べ応え。「しっかり効かせたガーリックの香味と唐辛子の辛さがクセになる激辛キーマ」(編集部)
20:つぶら乃 山椒カレー
京都・八坂の塔の近くにある、知る人ぞ知る料亭〈つぶら乃〉。お店ではカレーは出していないが、こちらの店主がプロデュースしたのが、山椒と、隠し味に宇治の玉露茶を使った独自のカレー。「山椒の入ったカレーは中国の花椒を使うものがほとんどですが、これは日本の山椒が入っています。花椒より繊細な辛味が口の中に広がります」(野村)
21:日本一辛い黄金一味ビーフカレー 鬼辛
「CAUTION!」「覚悟」の文字がただならぬ辛さを予感させるこちらは、京都にある薬味処〈祇園味幸〉の人気商品《日本一辛い黄金一味》を使ったカレーの最上位モデル「鬼辛」。タマネギやリンゴの甘味をベースにしつつ、もちろん一味もたっぷり。「辛いもの好きも満足させる刺激的な辛さに加えて味わいもぬかりなく、しっかり旨味もあります」(野村)
22:チャイニーズキーマカリー
14年間、毎日カレーを食べ続けるカレー偏愛家「カレーおじさん\(^o^)/」が監修。“中華カレー最強”を目指し、八角、豆豉、花椒、紹興酒といった中華料理でお馴染みの香辛料や調味料を使用。「中華のスパイス、食材を使用して作った完全オリジナルレシピです。ご飯だけではなく、麺や炒め物にも使えるマルチタスク型レトルトです!」(田中)
23:negombo33監修 ベイガンバルタ&ラッサム
ヴィーガン(完全菜食主義)のニーズの高まりを受けて、西所沢〈negombo33〉が、ヴィーガン対応の製品を監修。焼きナスを使った北インド・パンジャーブ地方のカレー「ベイガンバルタ」と、タマリンドの酸味が効いた「ラッサム」の2種類がセットに。「ヴィーガンの条件を満たしつつ、あいがけスタイルで味わう楽しさも付加されている」(編集部)
24:本日のカレー バターチキンカレー
バターが醸し出すまろやかな風味とコク、辛すぎないマイルドな味わいで老若男女に愛されているバターチキンカレー。「レトルトカレー業界でもバターチキンカレーの需要が伸びていて、多数販売されています。数ある中でも、これは本格度も保ちながら食べやすく、素直な味わいのカレーだと思います。コストパフォーマンスの高さも魅力」
(野村)
25:シバカリーワラ 焙煎マサラポークキーマ
三軒茶屋の名店〈シバカリーワラ〉と、竹田さんが手がける〈スペーススパイス〉のコラボレーションで誕生。本場インドの厨房で伝授されたというスパイス使いのテクニックを再現している。「店主・山登伸介さんと竹田さんが組んだと聞けば、間違いなし。しっかりと焙煎した香りの良いスパイスと粗挽きポークの旨味が詰まっています」(田中)
26:大人のためのビーフカレー
北野エースのプライベートブランド〈KITANO SELECTION〉の人気商品。「いつも食べているレトルトカレーをワンランクアップさせることを追求し“複雑だけどシンプル”という、相反するテーマを両立する味に仕上げています」(野村)。牛肉のおいしさに野菜の甘味が溶け込んだベースと、鮮度にこだわったスパイスが融合し、上質な味わいに。
27:山形県産 黒毛和牛カレー
「高品質スーパー〈KINOKUNIYA〉が、精肉部門で使用する牛脂を用いてルーを作ったオリジナルカレー。山形牛の甘味のある脂とスパイスが合わさる贅沢な味わいです」(田中)。同店は、肉の仕入れから加工までを一貫管理。黒毛和牛には熟成をかけ、肉の目利きが食べ頃を見極めてカットする。国産野菜の甘味が、十数種のスパイスの香味を高めるのも見事。
28:100年前のビーフカレー
1870(明治3)年創業の神戸オリエンタルホテルで、100年前に提供されていたカレーを再現。飴色になるまで炒めた淡路島産タマネギにフォン・ド・ヴォー、カレー粉などを加えたソースはクラシックな味わい。これに3時間煮込んだ牛肉を合わせる。「調味料や香辛料が限られた時代に考案された味は、現代のカレーに全く引けを取りません」(野村)
29:函館カレー 中辛
「今では観光地で多く見かける、ご当地カレーの先駆けです」(竹田)。1879(明治12)年に函館で創業した老舗洋食レストランが、1993年に定番のポークカレーをレトルトカレー化。主役の具材であるゴロゴロと入った豚肉、ジャガイモ、ニンジンは、すべて北海道産。秘伝のカレーソースでじっくり煮込むことで生まれる、素材の旨味の凝縮感が出色だ。
30:広島名産 かきカレー 中辛
「牡蠣のだしも効いた、おいしいシーフードカレー」(野村)、「臭いの問題で魚介のレトルトは難しいのですが、この商品はハイレベル」(竹田)。ソテーしたオニオンと牛乳、バター、ココナッツミルクで仕上げたカレーソースで、広島県産牡蠣を煮込んだ商品。カレーソースが染み出た旨味を絡め取り、スパイスの辛さとともに、濃い磯の香りが広がる。
31:兵庫県警察 災害と闘う救助隊員のカレー
「災害時でも、おいしい食事を」との思いで、神戸に本社を構える食品会社が兵庫県警察とコラボ。救助隊員の意見を参考に開発したレトルトは、トマトの酸味とマンゴーチャツネの甘味が効いた、辛さ控えめで老若男女が食べやすいベジタブルカレーだ。特筆すべきは、加熱なしでも食べられること。「常温でOKなので非常食として備蓄したい」(編集部)
32:飛騨牛ビーフカレー
「〈北野エース〉の『カレーなるレトルトカレー大賞』で一番人気に選出されたご当地カレー。〈吉田ハム〉は、畜肉加工が本業のため、豪勢に飛驒牛を使っています」(野村)。肉は煮込む前に表面を焼くことで、旨味を閉じ込める。それでもなお脂があふれ、野菜のおいしさも溶けたルーは、さらにコク深さを増していく。ビーフ党にはたまらない一品だ。
33:さくらんぼカレー
山形を代表する農産物、サクランボ入りのカレー。封を切ると、ピンクのルーがあふれ出る。「ホワイトカレーをサクランボ色にして、果肉も入れています。唯一無二の商品なので、お土産にピッタリ」(野村)。桃色のソースが豚肉などの具材に絡まる様子はそうお目にかかれない光景だが、食後感はきちんとカレー。牛乳のコク深さで、満足度もアップ。
34:仁丹の食養生カレー
1893(明治26)年創業の医薬品メーカーが、銀粒仁丹で培った生薬研究のノウハウを生かしてカレースパイスに金時ショウガや甘茶などの和漢植物を配合。漢方専門店〈薬日本堂〉と共同開発した商品だ。「お茶碗1杯分の少量パック。常温でも食べられるのでお弁当に添えてもよし」(編集部)。パンやうどんにかけたり、温野菜のディップにも最適。
35:よこすか海軍カレー ビーフ
「海上自衛隊が立地する地域には、必ずご当地カレーがあります」(野村)。長期間を海上で過ごす水兵にとって、週1回のカレーは、曜日感覚を取り戻す大切な食事。1908(明治41)年の『海軍割烹術参考書』掲載のレシピを現代風に復元し、今や横須賀みやげの定番。牛肉と野菜入りのカレーに仕上げ、栄養バランスが考えられているのも当時のままだ。