自分にとって価値のあるものだけがある。〈PADDLERS COFFEE〉代表・松島大介の居住空間学

「僕が一番好きな、僕に似合う部屋です」と語る〈PADDLERS COFFEE〉代表の松島大介さん。賃貸ながら、内装をガラリと変えて住んでいるウッディでチャーミングな部屋を訪ねます。

初出:BRUTUS No.1007「居住空間学 2024」(2024年5月1日発売)

photo: Taro Hirano / text: Tami Okano

自分好みを抽出して組み合わせた、サンプリングハウス

自分好みを抽出して組み合わせた、サンプリングハウス。〈PADDLERS COFFEE〉代表・松島大介の部屋
〈パドラーズコーヒー〉代表の、松島大介さんの住まい。居心地のいい場所作りへの情熱を詰め込んで改修した都心の一軒家で、住み始めて約2年。ダイニングテーブルはアメリカの友人から譲り受けたメキシコの古いもの。

待ち合わせは松島大介さんの店、渋谷区西原の〈パドラーズコーヒー〉で、挨拶もそこそこに、じゃあ移動しましょう、と保温ポット片手に早足で歩きだす。数分で着いた自宅は、古い木造の2階建て。付き合いのある商店会の人づてに紹介してもらった家で、賃貸ながら、内装をガラリと変えて住んでいる。

「以前はこんな感じ」と見せてくれた改修前の部屋の写真は、1階も2階も畳敷きの和室で、もはや比べるべくもない。改修設計は、中学の同級生でもあるという吉良貴之。ウッドプロダクトブランド〈TOO WOOD〉を共に立ち上げた小石宗右の協力も得て、隅から隅まで、「好きなもの、やってみたかったことを詰め込んだ」という部屋は、アメリカンといえばアメリカン。同時にもっと南のブラジルあたりの雰囲気もあり、簡単にはカテゴライズできない、ウッディでチャーミングな部屋だ。

「角丸の素朴な形だったり、ある一定のトーンの色だったり、自分でもよくわからないけど、なにかしらの狭い範囲に偏った“好み”があるんです。その好みは、昔からあまり変わらない」と松島さん。

場所作りにはもともと強い関心があるが、「ここまで自分らしい部屋作りができたのは初めてで、めちゃめちゃ居心地がいい」と嬉しそうに話す。部屋の居心地を徹底的によくしたい、と思い始めたきっかけはコロナ禍で、在宅時間が増え、オンラインで器を買ったり、海外の家の写真を眺めたりしながら、改めて思ったという。

「結局、居心地がいいって、自分に似合ってるってことじゃないですかね。そこにいて違和感がないというか、嗜好に一貫性があるというか。この部屋には、高価で超有名な家具やアートは一つもありません。そういうものを否定はしないけど、僕はそれを欲しいとは思わないし、手が届かないものは取り入れようがない。その代わり、古くて唯一無二だったり、普通だけど時間をかけて見つけた、自分にとって価値のあるものだけがある。だからここは、僕が一番好きな、僕に似合う部屋です」

TAG

SHARE ON

FEATURED MOVIES
おすすめ動画

BRUTUS
OFFICIAL SNS
ブルータス公式SNS

SPECIAL 特設サイト

FEATURED MOVIES
おすすめ動画