自分好みを抽出して組み合わせた、サンプリングハウス

待ち合わせは松島大介さんの店、渋谷区西原の〈パドラーズコーヒー〉で、挨拶もそこそこに、じゃあ移動しましょう、と保温ポット片手に早足で歩きだす。数分で着いた自宅は、古い木造の2階建て。付き合いのある商店会の人づてに紹介してもらった家で、賃貸ながら、内装をガラリと変えて住んでいる。
「以前はこんな感じ」と見せてくれた改修前の部屋の写真は、1階も2階も畳敷きの和室で、もはや比べるべくもない。改修設計は、中学の同級生でもあるという吉良貴之。ウッドプロダクトブランド〈TOO WOOD〉を共に立ち上げた小石宗右の協力も得て、隅から隅まで、「好きなもの、やってみたかったことを詰め込んだ」という部屋は、アメリカンといえばアメリカン。同時にもっと南のブラジルあたりの雰囲気もあり、簡単にはカテゴライズできない、ウッディでチャーミングな部屋だ。
「角丸の素朴な形だったり、ある一定のトーンの色だったり、自分でもよくわからないけど、なにかしらの狭い範囲に偏った“好み”があるんです。その好みは、昔からあまり変わらない」と松島さん。
場所作りにはもともと強い関心があるが、「ここまで自分らしい部屋作りができたのは初めてで、めちゃめちゃ居心地がいい」と嬉しそうに話す。部屋の居心地を徹底的によくしたい、と思い始めたきっかけはコロナ禍で、在宅時間が増え、オンラインで器を買ったり、海外の家の写真を眺めたりしながら、改めて思ったという。
「結局、居心地がいいって、自分に似合ってるってことじゃないですかね。そこにいて違和感がないというか、嗜好に一貫性があるというか。この部屋には、高価で超有名な家具やアートは一つもありません。そういうものを否定はしないけど、僕はそれを欲しいとは思わないし、手が届かないものは取り入れようがない。その代わり、古くて唯一無二だったり、普通だけど時間をかけて見つけた、自分にとって価値のあるものだけがある。だからここは、僕が一番好きな、僕に似合う部屋です」







