『Succulent and Xerophytic Plants of Madagascar』
著/ウェルナー・ラウー
自生地を知り
鉢に浪漫を抱く
ドイツ人学者、ウェルナー・ラウー博士がマダガスカルの原生林を取材した一冊。「ビジュアルの面白さが珍奇植物の醍醐味ですが、自生地の様子を知っていると、その見方も変わってきます。マダガスカルの厳しい環境で年月を重ねた野性的な姿はどれも素晴らしく、畏怖の念すら感じます。自生地への浪漫を鉢として持つのが、私なりの楽しみ方なんです」
『多肉植物写真集』
編集/国際多肉植物協会
育てる人目線で作られた
とことん実用的な図鑑
青柳さんも会員になっていた国際多肉植物協会が発行する図鑑。全2巻。「世界中の多肉植物を1,400種ほど紹介しています。しかもその品種名が細かく分類されていて、属ごとに解説が。数ある多肉図鑑の中でも“資料性”という意味では完璧な内容です。
初心者から上級者まで、すべての人におすすめできる“写真集”という名のつく図鑑です。自生地の写真も多く、細部まで多肉ファンの目を釘づけにしてくれます」
『Bromeliads』
著/不明
これが理想の姿だ!
タイの図鑑に魅せられた
ブロメリアをメインに取り上げたタイ語の図鑑。「まずビジュアルがとても面白い。花の全体像ではなく、ここまでの“寄り”を主役にしている本ってあまりありませんよ。品種別で読みやすくて、見応えも十分。ブロメリアってコンディションが整うと、こんなふうに赤やピンクに色づくんだなとか、植物の理想の姿が載っているので図鑑としても役立ちます。たとえ日本の気象条件でもこの姿を目指したいですね」
『EXOTICA』
著/アルフレッド・バード・グラフ
専門家のバイブルだった
プロ御用達の一冊
謎に包まれた品種が多かった1980年代に、さまざまな自生地の様子を撮影。「八丈島で観葉植物を作る生産者の方に教えてもらったプロ御用達の一冊です。インターネットがない時代の本で、分厚くて、とてつもない情報量。ところどころ現地で暮らす人が写り込んでいて、人と植物が共生する様子まで想像できるのもいいんです。デザインも良く、今でも読み返して、気になるところには付箋を貼っています」
『斑入植物集』
著/広瀬嘉道、横井政人
作り手の情熱が伝わる
斑入り植物だけを集約
第3巻まで刊行。斑入り植物だけを収録した写真集。「斑入りだけって、日本に古くからある、風変わりなものを愛でる文化を象徴する一冊だと思います。鉢や背景がすべて違うことから予想するに、斑入り植物の所有者の家を、一軒ずつ回って、地道に撮り集めた約1,400種は圧巻です。こんな植物にも斑があるのかと、斑入り好きの私にはたまらない内容です。品種別に編集された2号目以降が、おすすめです」
『BOTANICAL PLEASURE』
著/フランク・ブルグマン
植物を自分らしく飾る
ヒントが詰まっている
オランダ人現代美術家の、植物を取り入れた作品や展示の様子が収録された一冊。「自然的な植物に対して違和感のあるブルーを差したコントラストに、“ギャップ”の面白さを感じます。モノを青く塗りつぶすことで、機能性を消し去りアーティに見せている。野生にある植物が格好いいからこそ、インテリアとして取り入れるなら工夫してあげたい。こういうアートブックは店舗の内装などを決める際の参考にもしています」
『Tillandsia』
著/ポール・アイズレー 3世
一生で一度きりの
儚く美しい瞬間
世界的なティランジアハンターが見事に美しい花を咲かせたティランジアだけを集めて作った、まさに“珍奇ブック”。「ティランジアが花を咲かせるのは、一生を終える合図。命が尽きる直前、その姿を最も輝かせ、次の命を生むのです。その儚く散る一瞬をここまで多量に集めるという、著者の熱意に感服。最高の状態を捉えた写真は、植物を育てるうえで、良き目標になってくれますね。見応えのある図鑑です」
『メイプルソープの花』
写真/ロバート・メイプルソープ、序文/パティ・スミス
エキゾティックな植物の
新たな捉え方
青柳さんが20歳の時に出会った“花”が題材の衝撃作。「メイプルソープを代表する官能的なヌード写真のように、花を“エロス”としても捉えているのが見て取れます。彼が持つハードコアな性のイメージからは唐突に思えましたが、捉え方を変えれば花も生殖器の一つ。計算し尽くされたシャープな切り取り方に衝撃を受けて、植物を見る目が変わりました」