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自然の写真集 16選。森、海、雪、鳥、災害 etc.〜前編〜

自然と言っても被写体や込められた思いは様々。本当に人間は自然の一部ではないと言えるのか。一体、自然ってなんだろう?

Photo: Jun Kato, Nagahide Takano / Text: Keiko Kamijo

Anjès Gesink 『Vogels huilen niet』

バードシェルターで保護された鳥たちの肖像。

タイトルは英語で「Birds don’t cry」の意。写真家自らがボランティアをする施設に保護された鳥たちの姿を撮影。どの写真にも青い手袋をしている人が写り込んでおり、人間社会で傷ついた鳥をまた人の手で保護する自然の関係を端的に伝えている。

Terri Weifenbach 『the may sun』

時を超えて語りかけてくる植物と土地に刻まれた記憶。

ワイフェンバックが日本で滞在制作した「the may sun」と、2005年に発表されたパレスチナに咲く花を採集した19世紀の押し花帳を撮影した「The Politics of Flowers」を収録。2つのアプローチで作家の自然観が表現されている。

田淵三菜 『into the forest』

北軽井沢の山小屋に住み、1年にわたり記録した自然。

1989年生まれの写真家が捉えた、絶えず変化する生きた森の光、色彩、温度、湿度、そして生命力溢れるエネルギーが詰まった一冊。自身がひと月ごとにまとめて少部数で販売していたものを再構成した。造本は町口覚が手がける。

Anne Schwalbe 『WIESE XXI-XLVIII』

正方形で切り取られた、大地の息吹と小さな生命。

名もない雑草を独自の目線で切り取る。カリブ海の孤島やドイツ中部の田舎町、来日時撮影した日本の草地が収められた一冊。段ボール素材の封筒の中に白い平袋、ポストカードゴム留めの装丁も美しい。

Gunnar Smoliansky 『TRÄD』

森の中で衰えゆく木々を淡々と見つめるまなざし。

ぐにゃりと曲がっていたり、枝が枯れ落ちていたり、倒れていたり。かつて人類が信仰していた森は忘れ去られようとしている。そんな森に入ったスウェーデン人の写真家が、人類に対し反旗を翻したような木々を記録した。

MAT HENNEK 『WOODLANDS』

森の奥深く分け入り撮影した、樹木のポートレート。

無数に重なる木々の姿はパターン化され、奥行きをなくし、写真とも絵画ともつかぬグラフィカルな世界を描き出す。音楽業界で活躍するドイツの写真家がヨーロッパやアメリカで出会った森を撮影。こってりとインクが乗ったマットな質感の紙も良い。

鈴木理策 『White』

雪山に大判カメラを持ち込み、白い世界を繊細に写す。

北海道の十勝岳や青森の八甲田山。普段は人が立ち入らない雪山に分け入り、8×10インチの大判フィルムカメラで撮影。景色を覆い尽くす雪の白は、世界の境界を曖昧にする。写真集における「白」の限界に挑戦した。デザインは秋山伸。

Daniel Beltrá 『SPILL』

海に流れ出た大量の原油が織り成す息を呑む光景。

人類史上最も破壊的な環境災害といわれた、2010年メキシコ湾における原油流出事故のドキュメント。漏れ出た原油が海面を流れるおぞましい光景ではあるが、豊かな色彩は抽象絵画のよう。