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なみちえ、滝口悠生の「自分史上最高たい焼きと今川焼き」

仲良く家族と分け合ったり、我慢できず帰り道にたいらげたり。お気に入りのカスタードを聞けば、思い出や人となりまで見えてきます。街のパティスリーから、行きつけの洋食屋まで。カスタードに夢中な人たちに、とっておきを教えてもらいました。

photo: Kazuharu Igarashi / text: Neo Iida

滝口悠生
〈かしわや 三軒茶屋店〉の今川焼きクリーム味

気取らない“ザ・今川焼き”が駅前で買える幸せ

結婚する前、奥さんの家が世田谷線沿いにあったので、乗り換え駅の三軒茶屋で下車して、キャロットタワーにある〈かしわや〉の今川焼きをおみやげにしていました。

僕は基本あんこ派で、奥さんがカスタード好きだったので、1つずつ買って。でも結局カスタードが食べたくなって半分もらったり。なんといってもあの朴訥とした佇まいがいいんですよ。カスタードもたっぷり入ってるけど、いい意味で工夫しすぎない普通っぽさが好きで。あと安い。店の前の広場は世田谷線が渋谷まで延びていた頃の線路の跡地で、注文を待つ間にその長い年月を想像するのもいい。窓口におばあちゃんや学生が並ぶ、ローカルな風景も素敵です。

〈かしわや 三軒茶屋店〉の今川焼きクリーム味
キャロットタワー竣工前からあるそば&今川焼きの店。毎週水曜と第2・第4日曜はタピオカ粉で作った白い今川焼きのみ販売。

なみちえ
〈夢ある街のたいやき屋さん 若松町店〉のぜいたくカスタード

シュガーハイ上等。地元のぜいたくたい焼き

お兄ちゃんが「お好み焼き味のたい焼きがあるんだよ」って教えてくれて、一緒に来たのがこの〈夢ある街のたいやき屋さん〉でした。でも私はカスタードが超好きだから、ぜいたくカスタードの方が気になっちゃって。卵の味が濃くて私好みだし、家から車ですぐだし、よく食べるようになりました。

糖分って脳みそを即動かしてくれるっていうじゃないですか。私、頭の回転速度が異常なんで、『デスノート』のLが甘いものを食べるみたいに糖分も異常に必要で、シュガーハイになるくらい食べてたかも。でも筋トレのために糖質を控えたら、人間の“中毒性”を考えるようになって。言い方を変えると“中毒”というのは“何かに熱中している状態”と捉えられて、これは幸せなことなんじゃないかと思えたんです。自分と向き合う時間を経てから食べるたい焼きは平和で超おいしいです。

〈夢ある街のたいやき屋さん 若松町店〉の ぜいたくカスタード
就労継続支援A型の福祉事業所として2009年に開店。パンケーキのようなふかふかの生地に、濃厚なカスタードがギュッ。
なみちえ