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佐久間宣行、ムーメンナ、根本宗子、川島小鳥の「自分史上最高シュークリーム」

仲良く家族と分け合ったり、我慢できず帰り道にたいらげたり。お気に入りのカスタードを聞けば、思い出や人となりまで見えてきます。街のパティスリーから、行きつけの洋食屋まで。カスタードに夢中な人たちに、とっておきを教えてもらいました。

photo: Shimpei Suzuki, Kazuharu Igarashi / text: Emi Fukushima, Neo Iida

佐久間宣行
〈Libertable〉のクリスタル

お酒片手にイケる、ほろ苦い大人の甘さ

〈リベルターブル〉を知ったきっかけは、ヤギのチーズと黒トリュフ入りのマドレーヌを差し入れでもらったこと。あまりにおいしかったので、僕もたまに差し入れ用に買いに行くようになり、ついでに……と手を伸ばしたのがクリスタルというシュークリームでした。

カスタードにプラリネやキャラメルを混ぜたクリームの、苦味と甘さのバランスが絶妙で。その大人な味に、初めて食べた時は驚きました。以来、立ち寄るたびに自分用に1個買うんですが、家まで我慢できずに帰り道で食べてしまうんです(笑)。こってりしつつも後味が良く、お酒にも合いそうなので、次こそは家まで持ち帰って、ハイボールとともに堪能したいですね。

〈Libertable〉の クリスタル
ヘーゼルナッツや、あえて部分的にクリームに混ぜずに残されたプラリネによって、一口ごとに異なる食感や味わいが楽しめる。453円。

ムーメンナ
〈La croisée〉のシュークリーム

両国の路地裏。手仕事が息づくシュークリーム

近所のコーヒーショップ〈シングル・オー ジャパン〉の焙煎士さんのインスタでおいしそうなケーキを見かけて、どこのだろう?と調べたら、我が家から近い洋菓子店〈ラ クロワーゼ〉のものだとわかって。お店に行き、小ぶりでぽてっとしたシュークリームに一目惚れしました。

午前中に売り切れちゃうこともあるんですけど、一口食べれば人気の理由がわかります。シューは食べ応え十分な分厚さで、生地からはアーモンドの香ばしい風味。クリームは皮ギリギリまで詰まっていて、滑らかで素朴な甘味があって。手間暇かけて作っているのが伝わるおいしさです。小さいから、罪悪感なく食べられるところもお気に入り。

〈La croisée〉の シュークリーム
クレームダマンド(アーモンドクリーム)をのせて約1時間焼き、全体に風味を浸透させている。250円。

根本宗子
〈アマンド 六本木店〉のリングシュー

幼き日から憧れてやまない素朴で甘い、リング形の贅沢

子供の頃、祖母の友人が家に遊びに来るたび買ってきてくれていたのが、箱詰めされた〈アマンド〉のリングシューでした。ドーナツのような個性的な形が20個ほどずらりと並んでいるさまが強烈で、箱を開けた瞬間は毎回大興奮! 

バニラビーンズがしっかり入ったカスタードの素朴な甘さと、サクッとしたシュー生地の噛み応えが良いんですよね。中学生になってからはお小遣いをはたいて自分で買うようになりました。コンビニでもおいしいスイーツが買えるけれど、背伸びをして箱入りのお菓子を買って大事に持ち帰る、一連の流れも含めて最高の贅沢だったんです。

最近は女友達の家に手みやげとして持っていくことも多くて。女同士だとおしゃべりが長くなるから、すぐにはなくならない大きめのサイズもいい。口に運べば楽しい思い出が蘇る、これまでもこれからも、憧れの味です。

〈アマンド 六本木店〉のリングシュー
1952年に登場した看板メニュー。カスタードクリームと生クリームをぎっしりサンドした昔ながらのシンプルな味わいが特徴。390円。
根本宗子

川島小鳥
〈AIGRE DOUCE〉のシュー ア ラ クレーム

心をリフレッシュさせてくれる、幸福の味

僕にとってカスタードクリームは、幸せの象徴。中でも〈エーグルドゥース〉のシュー ア ラ クレームがもたらす幸福感は格別です。砕いたナッツがかかったパリッとしたシュー生地と、隙間なく詰まった濃厚なクリームのバランスが良く、口に運ぶと瞬時に心が満たされます。

10年ほど前、お店の近所に住んでいた頃は、写真集の構成を考えるような机に向かって作業をする時、行き詰まってくると決まって買いに行っていました。小ぶりなので2つくらいはペロリといけますね。食べると気持ちが切り替わって、また頑張ろうと思えるんです。引っ越した今でも、年に1度はわざわざ買いに行って、幸せな味に浸っています。

〈AIGRE DOUCE〉の シュー ア ラ クレーム
生地のパリッと感とクリームの軟らかさの対比を維持するため、作り置きはせず鮮度にこだわる。380円。