古舘佑太郎
〈パオン昭月〉のクリームパン
空気ごとパフッと食べたい、甘さが絶妙なクリームパン
近くで生まれ育ったので、店の前はよく通っていました。でも昔、特に10代の頃は背伸びしたくて、行くのはおしゃれなハンバーガーショップばっかり。20代に入ってノスタルジックな店に惹かれるようになり、〈パオン昭月〉の魅力がわかってきました。
高校時代はクレープ屋でバイトしてたくらい、甘いものは大好き。でも僕の好みは少しややこしくて、菓子パンはクリームが甘すぎるとクドくて苦手なんです。その点ここのクリームパンは甘さの加減が程よくて、後味さっぱり。すごくおいしいんです。あと、これもややこしいんですけど、中身がぎっしり詰まっているより、生地とクリームの間にある程度の隙間がある方が好きで……。あのパフッとした、密閉された空気ごと食べたい。一口ごとにクリームの量が多かったり少なかったりするのが、たまらなくいいんですよねえ。
でか美ちゃん
〈nukumuku〉のクリームパン
ぎっしりクリームパンに重ねる、母の味
お母さんが料理好きで、よくカスタードクリーム系のお菓子やパンを焼いてくれたんです。欲に任せて作るから、一回に使うクリーム量がいつも限界突破していて(笑)、パイもタルトもクリームパンも、カスタードぎっしりな食環境で育ちました。そんな思い出の味に似ているのが、〈ヌクムク〉のクリームパン。
形こそキノコみたいな独特のフォルムですけど、緩くないずしんと濃厚なカスタードの詰まり具合といい、優しい卵の風味といい、素朴で家庭的な味わいが母の味を思い出させてくれます。生地がふわふわと軟らかいところも好きで、行くと必ず買いますね。ハード系の硬いパンと交互に、アゴを休ませながら食べてます。