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〈My Picnic〉の山田千佳子さんが巡る、古くて新しいニューヨークのドーナツ3選

映画でも本でも、ニューヨーカーはいつだってドーナツを食べている。話題のドーナツショップ〈My Picnic〉の山田千佳子さんがNYの3軒を巡る。

photo: Nao Fukui / illustration: Yoshifumi Takeda / text: Momoko Ikeda

古くて新しいニューヨークのドーナツ

インスタグラムで販売先を告知するや、その味を求めて行列ができるほど人気の、店舗を持たないドーナツショップ〈My Picnic〉。ジャリッと甘いシナモンシュガー、さっくり揚がったドーナツに歯を立てると、ふんわり生地からバニラが香る。そんな〈My Picnic〉のドーナツ、実はニューヨークのクラシックなケーキドーナツがベースになっている。

2022年の6月、早めの夏休みをとりニューヨークのドーナツショップを巡ったのは店主の山田千佳子さん。「お手本にしているのが、ブルックリンのカフェ〈R&D Foods〉のシナモンシュガードーナツなんです」。〈My Picnic〉を始める前の2017年。ニューヨークを訪れた際にたまたま出会ったのだという。

「朝は出来たてのドーナツがケースに並ぶんです。口に入れるとさっくり、ホロホロと崩れるような食感、作り手の手の跡が残っているような、素朴な形。すべてがパーフェクトです。今回もレベルの高さに改めて感動。いつまでも目標のドーナツです」

R&D Foods

人気カフェによる温故知新のドーナツ

2014年開業したデリ兼カフェ。かつてイーストハンプトンにあったNYスタイルのケーキドーナツの代表的存在〈Dreesen's〉のレシピを引き継いだ。生地の歯切れが良く食感はさっくりとしている。ラインナップは、一番人気のシナモンシュガー、プレーン、パウダーシュガーの3種類。各3ドル。

今回の旅では、〈R&D Foods〉以外に、これまで行ったことのないドーナツショップも巡った。その中で、老舗とニューウェーブが混在するニューヨークのドーナツシーンの奥深さを再認識したそう。

「たまたま通りがかった〈Peter Pan Donut〉は70年以上にわたって街で愛される老舗で、クルーラーやオールドファッションをはじめニューヨークの古き良きドーナツがずらっと揃うお店。見た目は派手だけど、味は毎日でも食べたいようなシンプルなおいしさ」

Peter Pan Donut & Pastry Shop

70年以上NYで愛されてきた老舗

1950年代から続く老舗。クルーラーやイーストドーナツなど、クラシックなNYスタイルが日替わりでラインナップ。オールドファッションをコーヒーに浸して食べるのが店主イチオシ。水色の制服は30年前から。1.75ドル〜。

「一方、その後行った〈Dough Doughnuts〉はここ数年でお店が増えている人気のローカルチェーン。ハイビスカスやハニーマスタードのようなグレーズに目が行くんですが、生地も本格的。発酵させたブリオッシュ生地のふんわり感に感動しました」

Dough Doughnuts

斬新なフレーバーが揃う気鋭のショップ

ブルックリンからスタートし、NYで7店舗展開するローカルチェーン。2度発酵させたブリオッシュ生地に、グレーズをかけたドーナツは日替わりで10種類ほど。ハイビスカスやフィリピンのイモ“ウベ”のような珍しいフレーバーも多く取り入れる。4.95ドル〜。

「今回は少し遠出して郊外のアップステートにも足を延ばしましたが、ローカルたちが集うファーマーズマーケットではその場で揚げたてを提供してくれるショップも。ニューヨークのドーナツはそこに暮らす人の生活に馴染んでいて、毎日食べても飽きない素朴な味わい。改めて、その魅力を実感することができました」

ニューヨーク〈R&D Foods〉店内ショーケース
〈R&D Foods〉