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語る音楽家、語られる音楽家:坂東祐大→山澤 慧

作曲家・坂東祐大さんが語る、山澤 慧

illustration: Yoshihumi Takeda / coverage,text: Katsumi Watanabe

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坂東祐大が語る、山澤 慧

横浜みなとみらいホールが開催する現代音楽のコンサート『Just Composed 2024 in Yokohama』が、今年も盛況のうちに幕を閉じました。本年度のテーマは、チェロとエレクトロニクス。チェロを山澤慧さん、エレクトロニクスは有馬純寿さんが担当。

渡辺愛さんの作品やリチャード・バレットの難曲、北爪裕道さんの新作が演奏された前半。バラエティ豊かな曲目の中、後半のブライアン・ファーニホウ「Time and Motion Study Ⅱ」の演奏が圧巻でした。

1943年にイギリスで生まれたファーニホウは、70年代の「新しい複雑性」という流れに属する作曲家。スコアに記載する情報量が異常に多く、チェロの楽譜にもかかわらず、まるで設計図のように何段も真っ黒に記譜されていて。僕のように現代音楽に携わっている人間でも、解読するには非常に骨の折れる楽譜になっています。

山澤慧のイラスト

「Time and Motion Study Ⅱ」は、チェロ演奏だけではなく、声を使うセクションもある。山澤さんいわく「この曲を演奏するのは、エヴェレスト登頂に挑戦するようなもの」という。恐らく、世界一難しいチェロ作品ではないでしょうか。

エレクトロニクスのパートは、会場内に立体的に配置されたスピーカーからリアルタイムで加工されたチェロの音が響き渡ります。もちろん、エレクトロニクスの操作も作曲者によって記譜されていて、山澤さんと有馬さんが共に緻密に演奏を進めていく。

20分を超える熱演は、あっという間の体験。山澤さんの熱演は優雅にも感じ、難曲には感じられない瞬間も多かった。プログラム全体を通じ、ファーニホウの作品を聴くと、もはや古典的な雰囲気を感じられたという、面白い発見も。

山澤さんのX(@yamazawakei)には「Time and Motion Study Ⅱ」の練習中の動画抜粋がありますので、ご覧いただけましたら嬉しいです。

坂東祐大が選ぶ3枚

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