石若 駿が語る、クリス・ワイズマン
2020年頃、コロナ禍のロックダウンから、音楽を聴く時間が増えていたんです。そんな時、シンガーソングライターのジェイク・シャーマン「Not in a Dream Today」を聴いたんです。もう、ハーモニーの移ろいがどストライク。
調べてみると、12年にクリス・ワイズマンが発表した曲のカバーだとわかって。さらに掘っていくと、ジャズとインディーロックの狭間を行き来する、現在活躍中のミュージシャンたちへ大きな影響を与えていることがわかった。
ブレイク・ミルズともコラボしていて、23年に配信された動画『Fretboard Journal』では、当初2人ともギターを演奏していますが、「Wendy Melvoin」の最中には、新しい管楽器・ヴェノーヴァ(17年にヤマハから発売。サックスとクラリネットの中間のような音色)を吹いている。すごく自由な発想で音楽を作っているマルチ奏者だということがわかる。
![ジェイク・シャーマン](https://media.brutus.jp/wp-content/uploads/2024/03/3f68630bc4c1ba4c534a15be42db8e8e.jpg)
彼はバンドのメンバーでもあり、ソングライターとして自身名義の作品もたくさん発表しています。中でもクリス・ワイズマン名義の作品は、どれも聴いたことのないようなコード進行の曲ばかりだし、楽器のチョイスにも驚かされるものが多い。
全編ヴェノーヴァとピアノのみの楽曲で構成された最新作『To Your Wider Question』 を聴いていると、どんな楽器を演奏しても、彼の音楽的な個性が前面に表現されている。思わず、ワイズマンの音楽家人生を想像してしまい、なんか感動してしまいました。
19年頃から、個人で制作したアルバムを、自身のインディペンデントレーベルからどんどんBandcampへアップし、販売しています。作品ごとに表情が異なるのは、やりたい音楽を片っ端から全部やっているように感じられる。同じ音楽家として、すごく勇気づけられ、背中を押されているように感じています。
石若 駿が選ぶ3枚
![『To Your Wider Question』](https://media.brutus.jp/wp-content/uploads/2024/03/2e41845307a1b83ee37288de65ca925c.jpg)
![『Maya Properties』](https://media.brutus.jp/wp-content/uploads/2024/03/d708532cc3ba54b2839138bff645d024.jpg)