『武装せる予言者・トロツキー 1879-1921』
トロツキーはチェ・ゲバラと並んで我々の輝かしいヒーローだった
『武装せる予言者』『武力なき予言者』『追放された予言者』の3部作。ロシアの革命家レフ・トロツキーの伝記だ。
一時期、トロツキーはチェ・ゲバラと並んで我々の輝かしいヒーローだった。当時の日本共産党は「トロツキスト」を徹底批判し、蛇蝎の如く嫌っていたが、我々乱暴な青年たちはトロツキーの長大な著作を読破した。今となってはその内容はほとんど何も覚えていないけれど。
トロツキーの本名はレフ・ブロンシュテインだが、流刑地シベリアから逃亡する際に偽名として、自分を担当する看守の名前「トロツキー」を借用した。そしてそれから死ぬまでその名前を名乗った。そのようにしてシベリアの(本来は名もなき)収容所看守の名が、歴史に轟きわたることになった。
そういえば僕は最初の小説の中で、逃亡するトロツキーと忠実なトナカイたちについて、何か適当な挿話を書いたような気がする。どんなことだったか思い出せないけど。