『うみべのまち 佐々木マキのマンガ 1967-81』
高校時代、『ガロ』に掲載されていた佐々木マキさんの漫画に夢中になった。
高校時代、雑誌『ガロ』に掲載されていた佐々木マキさんの漫画に夢中になった。それは実にオリジナルで、実にポップで、他に類をみない素晴らしい作品であったからだ。彼の絵を見るたびに、扉がひとつ開いて、そこから新しい空気が吹き込んでくるような気持ちになったものだった。
だから僕が初めて小説を書いて、それが単行本になることに決まったとき、「表紙に何か希望がありますか?」と編集者に訊(き)かれて、迷うことなく「佐々木マキさんの絵を使いたいです」と答えた。そしてマキさんにお願いして、表紙のために絵を描いていただいた。そしてそれは———おそらくご存じのように———素晴らしい表紙になった。
この『うみべのまち』は『ガロ』時代の作品を中心に集めたものだが、今見てもまったく古びていないことに驚いてしまう———というか感動すら覚える。