『チューサン階級ノトモ』
「サブカルチャーのあだ花盛り」
1970年代、雑誌『宝島』に嵐山光三郎さんが中心になって連載していた「チューサン階級の友」。僕は熱心な読者だった。そこで嵐山さんや、水丸さんや、糸井重里さんのことを初めて知った。
嵐山さん、水丸さん、その他多くの人々は当時はまだ平凡社の社員で、堅気の編集者をやっているかたわら、ペンネームを使って好き放題なことをしていた。その「好き放題」ぶりがこの連載の持ち味だった。僕は当時の『宝島』を一揃い、今でも大事に保管している。
この単行本は後日、1984年に出版され、『宝島』の連載の一部を収録し、当時の「好き放題ぶり」をみんなで懐古するという内容になっている。僕もささやかな一文を寄せている。60年代の政治と反乱の季節が終わりを告げ、「さて、これからどうしよう」という空白の時代に生まれた「サブカルチャーのあだ花盛り」とでも表現すればいいのだろうか、貴重な奇書だ。
今となっては手に入りにくい本になっているようだが、もし見つけたら、ぜひ買って読んでみてください。
