『幻想旅行記──グランド・ガラバーニュの旅』
架空の国の旅行記を展開する、かなり不思議な本。
1972年、青土社のユリイカ叢書として出版された。アンリ・ミショーはベルギー生まれの詩人にして画家(1899-1984)。原本は1936年に発表された。題名にあるとおり、ミショーはここで架空の国の旅行記を展開している。かなり不思議な本だ。今でも流通しているのだろうか?
ミショーの描く架空の国、グランド・ガラバーニュには数多くの種族が住んでおり、彼らはそれぞれに特異な ──でも本人たちはちっとも特異とは思っていない── 習慣を持ち合わせている。たとえば、
「パラン族は、剣を嚥みこむ人間たちと、埃を吸いこむ人間たちとを供給する。人々は時々、泥の中を、まるで雑布のように、気力をなくした豹を後に引きずってゆく彼らの姿を、見ることがある。一体どんなやり方で、彼らは豹をそんなふうにすることができたのか、わたしにはわからない」
パラン族、ちょっと見てみたいです。気力をなくした豹たちも。