田村シェフ考案!
レトルトを使ったアレンジ料理
大塚駅から徒歩6分、連日満席の人気を誇るインド料理店〈カッチャル バッチャル〉。店主の田村修司さんは、自身の店のレトルトカレーを発売した経験も持ち、〈無印良品〉のレトルトシリーズの高い完成度を熟知している人物だ。
今回のアレンジ料理に挑むため、田村さんが選んだのは意外にもタイカレー。「日頃からこの味が好きだったので」というグリーンカレーで作り上げたのは、スパイシーなカレー風味のポテトサラダだ。単にソースとしてポテサラにかけるのでなく、ジャガイモをグリーンカレーで炊いてしまうという驚きの展開。「グリーンカレーでジャガイモを煮て味を移し、最後は水分を飛ばしてマッシュしていくイメージです」。
グリーンカレーが染み込んだポテトはそれだけでも十分おいしいが、さらにインド料理のプロならではの一手間を。それがカレー作りの基礎といえる“テンパリング”のテクニック。ホールスパイスを油で熱し、スパイスの香りを油に移す重要な作業だ。
油が冷たいうちにマスタードシードを入れ、泡立ってきたらコリアンダーシード、ターメリック、最後はレモンも一緒に揚げてしまう。「これを熱々のうちにポテトと合わせると、タイカレーの爽やかさに力強いインドの辛味と酸味が加わります。仕上げに生のバイマックル(コブミカンの葉)を刻んでトッピングすると、よりタイカレーの風味が鮮やかになりますよ」(田村さん)。
ココナッツミルクが甘く香り、鮮烈な辛さの後味をレモンの酸味が引き締める。まさにタイ・ミーツ・インド!ついつい後引く、魅惑のポテサラだ。
タイmeetsインド!
グリーンカレーのポテトサラダ
“テンパリング”の技で味に
スパイシーな一体感を。
[材料]
ジャガイモ … 小5個(約250g)
水 … 大さじ2
紫タマネギ … 1/4個(約50g)
半熟ゆで卵 … 2個
青唐辛子 … 2本
パクチー … 1株(5g)
サラダ油 … 大さじ1と1/2
ブラウンマスタードシード … 2g
コリアンダーシード … 2g
ターメリックパウダー … 1g
レモン … くし形切り(1/8個分)2切れ
バイマックル … 適宜(お好みで)
レトルトカレー:素材を生かしたカレー グリーン〈無印良品〉 … 1袋(180g)
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[作り方]
(1):ジャガイモは皮をむき、1.5cm角のさいの目に刻む。
(2):鍋に(1)のジャガイモと〈無印良品〉のグリーンカレー、水を入れ、中火で10分ほどかき混ぜながら煮る。
(3):ジャガイモが軟らかくなり、鍋の汁気がなくなってきたらジャガイモを適度にマッシュ=潰しながら水分を飛ばし、ボウルに移してスライスした紫タマネギを和えておく。
(4):ホールスパイスを油で熱して香りを出す「テンパリング」の作業へ。フライパンにサラダ油を入れ、ブラウンマスタードシードを加え火にかけ、表面が泡立ってきたらコリアンダーシード、ターメリックパウダー、レモンの順に投入。焦がさないよう注意しながら揚げていき、香りが立ってきたらフライパンを火から下ろす。
(5):(4)が熱いうちににかけて全体が馴染むように混ぜる。
(6):(5)に細かく刻んだパクチーと青唐辛子、手で崩した半熟ゆで卵を加えてサックリ混ぜ、仕上げに千切りにしたバイマックルをトッピングして出来上がり!
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[POINT]
無印良品のカレーが
できるまで。
グリーンカレーは無印良品でも古参のレトルトカレー。20年前に家庭でタイカレーを食べるなんて、ちょっとした衝撃だった。しかも、化学調味料不使用を早くも実現。2009年にはバターチキンがデビューするが、世の人が抱くレトルトカレーのイメージを変えたという意味でも、無印良品の功績は偉大なのだ。「現地に学ぶ」商品開発。そのすべてに、異常なまでの熱量を傾ける。それがこの会社の社風なのだろう。
タイでは屋台から郊外のローカルレストラン、市場や畑にも出向き、徹底的にリサーチをかける。驚くべきは日本から持ち込んだカレーを、現地の人に食べてもらうモニタリング。現地の人もおいしいと唸る味を目指す。こうしてグリーンカレーは改良された。ハーブ感を際立たせるため、ペーストを1.5倍に増量。レモングラス、スイートバジル、カフィアライムリーフをポイントにしつつ、爽やかさを演出するタイの黒ショウガ、クラチャイを新たに追加。またオリジンに近づいた。