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日本とペルーを繋ぎ文化勲章を受章。〈ミラフローレス〉パトリシアさんが日本でお店を始めるまで

故郷から遠く離れた日本で、現地の味や文化を伝えるレストランを営む人たちがいる。ペルー出身のパトリシア・エスカランテさんはどんなきっかけで日本に来て、〈ミラフローレス〉をオープンしようと思ったのか。そこには人と人との出会いがあり、さまざまな物語があった。

photo: Shin-ichi Yokoyama, Kaori Oouchi / text: Akiko Yoshikawa

愛する母国の味で日本とペルーを繋ぎ文化勲章を受章

初めて日本に来たのは1991年で、私は19歳。家がアルパカのニット工場をやっていて、日本に招待されたんです。当時はバブルで、ペルーから持ってきたアルパカニットがヒット、1週間の滞在予定が1ヵ月になり、日本で事務所を作ることになりました。

渋谷〈ミラフローレス〉パトリシア
初来日時は大学生だったパトリシアさん。

ここは2004年にオープン。本物のペルー料理を出したかったから、子供の頃から通っていたレストランのシェフ、ビクトルを説得して日本に来てもらいました。メニューは私の大好きなものばかり。新鮮な食材にこだわってます。
11年にはニットショップ〈ロイヤルアルパカ〉とこの店がペルー文化に貢献したからと、ペルー大統領から文化勲章をもらいました。

ペルーにいる80歳過ぎの母はいまだに私に「ペルーにいてほしかった」って言うけど、もう日本の方が長くなりました。ビクトルも初めは5年の約束だったから、さよならパーティしてペルーに帰ったのに、また戻ってきて今も料理を作ってくれている。これからもペルーのいいところを日本に知ってもらいたいと思ってます。

ミラフローレス(渋谷)

パトリシアさんの故郷、首都リマの海岸沿いの街ミラフローレス地区を彷彿とさせる料理の数々で、シェフは全員ペルー人。牛ヒレ肉と野菜のバルサミコ醤油炒め2,000円も人気。

渋谷〈ミラフローレス〉フレッシュシーフードのマリネ
フレッシュシーフードのマリネ1,800円。ペルーでの魚介の生食文化は、日本からの移民によって広められた。