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名ロックバーの意志が引き継がれる恵比寿〈セイリンシューズ〉。ミュージシャン・堀込泰行とリスニングバーへ

なぜ人は、リスニングバーに行くのか。旨い酒と洗練されたその選曲は、愛聴盤を新鮮に響かせ、新しく出会った一枚も名盤のように聴かせてくれる。店を信頼するゲストと店主が語る、音楽と酒の話。

Photo: Masanori Kaneshita / Text: Katsumi Watanabe

良い選曲とボリューム
引き継がれる名ロックバーの意志

恵比寿のミュージックバーといえば、まず名前が挙がってくる〈Sailin’ Shoes(セイリンシューズ〉。しかし、2020年に創業者の波岡淑朗氏が永眠。その後を引き継いでお店の常連客や有志が集まり、再オープンさせた。波岡氏と親しかった堀込泰行さんも久々の来店になったという。

「2005年頃、ライブに来てくれた波岡さんから、リスニングバーを開くと聞いて伺いました。フィフス・アヴェニュー・バンドのようなソフトロックからキャロル・キングなどのソングライター系まで、波岡さんの雰囲気に合わせた選曲に身を委ねて。音楽重視のバーの帰り道は、喉が痛くなっていることも多いんですが、セイリンの音量は心地がいいので、それがなかった。空気のように音楽が流れている感じですね」

常連客からセイリンの店主になった栗田泰教さんもボリュームに関しては、普段から気遣っているという。「音量は会話ができるくらいと決めています。それは波岡さんから引き継いだこと。音楽家同士でお酒を飲み、一緒にアルバムを作ることが決まったという素敵な話も、ここではたくさんあるんです」

恵比寿〈セイリンシューズ〉店内

栗田さんには新しい計画もある。「日本酒と音楽が楽しめるバーにしたいと考えています。最近の酒蔵は、昔の作り方を継承しながら、日本酒をアップデートしている。過去の曲をサンプリングしながら新しいサウンドを作っている近年の音楽とも共通点がありますよね」

そこで堀込さんからツッコミが……。
「僕は大のビール党だから、おつまみは現状の乾き物のみでいい。でも日本酒にはおいしいアテが必要。食べ物も検討してください」

2人で選んだ4枚

『Song Of Long Ago』Carole King
「The Night They Drove Old Dixie Down」The Band
『The Joker』Steve Miller Band
「For What It’s Worth」Buffalo Springfield