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世界から注目を集める銀座〈GINZA MUSIC BAR〉。ミュージシャン・黒田卓也とリスニングバーへ

なぜ人は、リスニングバーに行くのか。旨い酒と洗練されたその選曲は、愛聴盤を新鮮に響かせ、新しく出会った一枚も名盤のように聴かせてくれる。店を信頼するゲストと店主が語る、音楽と酒の話。

Photo: Keisuke Fukamizu / Text: Katsumi Watanabe

世界から注目を集める
“THE JAPANESE MUSIC BAR”

戦後から、日本最大の繁華街として栄えている夜の街、東京・銀座。昭和の夜を彩ったバーやキャバレーでは、毎晩ジャズやラテンなどが演奏されてきた。賑やかな場所には、やはり音楽は欠かせない。時を経て、2014年にオープンした〈GINZA MUSIC BAR〉。

巨大なスピーカー〈TANNOY〉Westminster、そして〈GARRARD〉のターンテーブルなど、すべてヴィンテージの機材が用意され、3000枚のレコードライブラリーからジャンルを問わず、さまざまな楽曲が選ばれている。

昨今、世界中から日本のミュージックバーが注目を浴びているが、その先駆けとなった〈GINZA MUSIC BAR〉には、海外のお客さんから銀座の遊び人まで、多様な人々が集まっている。その中にジャズの本場NYで活躍するトランペッターの黒田卓也さんもいようとは。

「2019年、MISIAのツアーに参加するために帰国した時、同郷の先輩が“エエ店あるで”と紹介してくれたのが〈GINZA MUSIC BAR〉でした。同じバンドメンバーとして来日していた鍵盤奏者のコーリー・キングと一緒に飲みに行って。

選曲していたセレクターが、コーリーの大好きなマーヴィン・ゲイの未発表テイクをかけたのがキッカケで“これ、何?”と話しかけて。セレクターの方も英語が話せたものだから、すごく盛り上がって、楽しかったんです。それにしても、〈TANNOY〉のスピーカーがとにかく大きな音で鳴っていて、インパクトがありました」

カウンターに座ると、正面から大きな音が迫ってくる。しかし、不思議なことに、うるさいとは感じない。イタリア出身のミュージックセレクター、クロードが説明する。

「アナログには特有の音域があって、スピーカーとパワーアンプの調整でうるさいとは感じなくなる。カウンターにいても隣の席の人とは意外としゃべりやすいんです。例えば、恋人とデートでいらした場合、2人ではコミュニケーションがとれるけど、隣の組には話が聞こえないという」

音への配慮にすっかり感心する黒田さん。BGMではなく、じっくりバーでレコードを聴くという文化は、海外にはほとんどないという。

銀座〈GINZA MUSIC BAR〉店内

「アメリカ人は音楽が大好きなんだけど、バーへ行く時は騒ぎに行く感じですね。だから、とにかく店の中がうるさい(笑)。スタッフが選んだこだわりのプレイリストをかけているお店もあるけど、それでもお客さんはやかましい。

世界中で考えれば、ロンドンに音響に特化した〈Plastic People〉という小さなクラブがあって、そこの音に感動したくらい。だから、海外の人が、日本のミュージックバーに惹かれるのもわかりますね」

デヴィッド・ボウイや山下達郎など、選曲の幅も黒田さんは楽しむ。「仕事や趣味で、普段からジャズを聴いているから、お酒を飲む時は、いろいろな音楽が聴きたい。〈GINZA MUSIC BAR〉はジャンルを超えた選曲だけど、ちゃんとセレクターがいるので筋は通っているから長居できる。次に東京に戻ってきた時にはコーリーも連れてきますね」

2人で選んだ4枚

『Carry On』Flora Purim
『Adventures In Paradise』Minnie Riperton
『Private Eyes』Hall & Oates
『Victory』The Jacksons