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「ハードリカー大図鑑」リキュール編。 素材選びから始まる造り手の創造力を楽しむ

活況を呈するハードリカー界において、我関せずと独自の歩みを続けている感のあるリキュール。しかしヨーロッパにおける存在感は決して小さくなく、カクテルに欠かせないどころか、主役を張れるクオリティを備えた逸品も多い。蒸留酒に果実やハーブを加えて造られるこのブレンドは、一つの完成したカクテルともいえる。

Illustration: Shinji Abe(karera) / Photo: Shin-ichi Yokoyama / Text: Akio Mitomi, Chise Nisinoiri, Ryota Mukai / Edit: Kaz Yuzawa

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コアントロー・ノワール
(コアントロー)

柔らかで贅沢な口当たりは、
ロックで楽しみたい。

オレンジリキュールのコアントローとコニャックのレミーマルタンに、クルミとアーモンドを漬け込んでできたノワール。アンバーカラーが美しい大人のリキュールである。

リキュール〈コアントロー・ノワール〉
コアントロー・ノワール | 40度、700ml。

シュプリーム・デノワ
(デノワ蒸留所)

19世紀から続くノウハウで
生まれるクルミのリキュール。

オーク樽で5年熟成させたクルミジュースをアルマニャック、コニャック、薪で焼いたシロップなどでブレンド。複雑に入り組んだ味は、カクテルの味をキメる強力な一滴に。

リキュール〈シュプリーム・デノワ〉
シュプリーム・デノワ | 30度、70cl。

ルジェ・クレーム・ド・カシス
(ルジェ・ラグート)

1841年、このブランドが
カシスリキュールの歴史を開く。

ルジェ・ラグートのモットーは、リスペクトフルーツ。材料となるカシスは、最高品質の2種類のみを使用。フルーティな味わい、その中に一切のよどみはない。

リキュール〈ルジェ・クレーム・ド・カシス〉
ルジェ・クレーム・ド・カシス | 20度、700ml。

十六味保命酒
(入江豊三郎本店)

もち米が生み出す、甘味の強い原酒に、
16種類の薬味で効く。

保命酒は、江戸時代から広島・鞆の浦で生産される、日本の薬草リキュール。リキュールというと西洋文化だと思い込みがちだが、日本オリジナルなものもある。

リキュール〈十六味保命酒〉
十六味保命酒 | 約14度、600ml。

バタフライクラシックアブサン
(アルテミジア)

欧州のアブサンと、趣を異にする、
アメリカンレシピとは。

アメリカ禁酒法時代前の手法で造られたアブサンを名匠クロード=アラン・ブニョンがスイスの地で復活。柑橘とミントのニュアンスの奥に広がるアニスの風味が特徴。

リキュール〈クラシックアブサン〉
ライクラシックアブサン | 65度、750ml。

スーズ
(ペルノ・リカール)

もっと知られていい、消化も助けてくれる
苦旨リキュール。

オーヴェルニュ地方に自生する野生のゲンチアナを50%使用することで、本来の苦味をさらに際立たせたゲンチアナの根のリキュール。フランス原産。苦旨い。

リキュール〈スーズ〉
スーズ | 20度、700ml。

Column

飲み手も造り手も虜にする、
苦味と甘味が混在する世界。

アブサンといえば、頭に浮かぶのが、欧州の芸術家が魅惑の味に溺れたエピソード。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、フィンセント・ファン・ゴッホ……。一時製造禁止となったが、ニガヨモギの香味成分ツジョンの含有率制限をかけることで1981年復活。

フィンセント・ファン・ゴッホ

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