京都駅ビル
美術館「えき」KYOTO、石の博物館にピアノも
巨大な駅ビルを探索する
2022年で25年、現在4代目となる京都駅ビル。建築全体のフォルムは有名だが、その内側も飽きさせない魅力が満載だ。美術館があり、ささやかな博物館があり、そして絶景ロケーションのピアノもスタンバイ。地元の人にも知られていない穴場らしい、新幹線がよく見下ろせる南側の広場、そして西側にはタケノコが生える屋上テラスだってある。巨大な複合施設、という名のジャングルをちょっと探検気分で巡ってみるのはどうだろう。
駅ビルの名物・大階段の途中からでも入ることができる、展示フロア400m2の〈美術館「えき」KYOTO〉。写真、版画、アニメなどの企画展が開催。住所：京都駅ビル内ジェイアール京都伊勢丹7階隣接 | 地図 TEL：075-352-1111（大代表） 営：10時～19時30分 入館料は展覧会により異なる。公式サイト：https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/ 
〈石の博物館〉は実は駅ビル北側の柱。柱ごとに産地分けし展示されている石は、全部で288種類。よく観察すればアンモナイトの化石が埋め込まれた石も発見できる。 
7階の東広場には誰でも弾いてよいグランドピアノが設置。駅ピアノは珍しくないが、目の前の京都タワーから市街地までを一望できる場所はほかにないのでは。学生のマンスリーコンサートも開催。演奏時間は10時～19時で並んでいる場合は1人10分程度まで。
DAVADA COFFEE & RECORDS
ポートランドなスタイルの
DAVADA COFFEE & RECORDSでレコードを買う
長年、左京区の元田中にあったレコードショップ〈Llamalabo Record〉の店主GOWさんが河原町七条の南西角にオープンしたコーヒー＆レコード店。小さな店内だが奥にはロック、ジャズ、ヒップホップ、歌謡曲などジャンル問わずの中古レコード（試聴可）とCDが所狭しとぎっしり。旅のフィナーレにコーヒーで一服、そしてレコードで散財、もう思い残すことはない⁉
店内は約9坪で10席。「ポートランドのコーヒーショップを意識した」とGOWさん。スキャットの“ダバダバ”が好きで、と命名。 
〈Llamalabo Record〉時代から引き続きの良心的な価格が嬉しい。取材時にはスティーヴィー・ワンダー『ファースト・フィナーレ』300円など、500円以下の中古盤も充実の品揃え。コーヒーをきっかけに音楽を伝えたい思いも。 
築90年以上の昭和モダンな建物に2019年に開店。スペシャルティにはコロンビア、エチオピア、グアテマラの浅煎りオリジナルブレンドなど。日替わりドリップコーヒー450円。
新撰組の跡地
新撰組の跡地を巡り、
幕末に思いを馳せてみる
新撰組、といえば中京区の壬生寺周辺がお馴染みの地ではあるが、彼らの最期を語るうえでは外せないゆかりの地が京都駅の西側、堀川通付近に存在する。参謀・伊東甲子太郎らの殉難の地。そして不動堂村屯所跡、または新撰組最後の洛中屋敷跡。これらを巡れば、約150年前に町を闊歩していた新撰組が立体的に浮かび上がってくる？いずれの石碑も徒歩圏内、幕末最後の浪士たちに思いを馳せながら帰途に着くのも悪くない。
「油小路七条の変」の現場と推測される本光寺前の石碑。伊東甲子太郎は思想の違いから新撰組を脱退。その後、討幕を説き巡ったことで新撰組との関係が悪化。1867年、近藤勇らに襲撃されこの付近で暗殺された。 
〈リーガロイヤルホテル京都〉の一角にある新撰組の屯所跡地。 
こちらも同じく、塩小路通と西洞院通の〈京湯元 ハトヤ瑞鳳閣〉角にある屯所跡地。壬生八木邸や前川邸から西本願寺へ移転、そして1867年に江戸幕府の直参となり新しく建てられた屯所で、新撰組の宮川信吉の書簡では「七条通り下ル」、永倉新八は「七条堀川下ル」と書かれている。つまり同じ屯所の石碑が2つあるのは正確な位置が特定できないためだが、約1万m2の敷地の邸宅で、30名が入れる風呂があるなど大名屋敷さながらの屯所だったそう。伏見奉行所へ移るまで半年間使用された。
〈富士ラビット〉社
登録有形文化財のレトロモダンな洋館、
富士ラビットの意匠を知る
通量の多い七条通でひときわ存在感を放つモダンな洋館がある。1923年に建てられた、T型フォード等の輸入車販売代理店〈日光社〉旧社屋で、戦後はスクーターを販売していた〈富士ラビット〉社。国の登録有形文化財に指定されており、2001年に保存修理、構造補強の改修を経て現在に至る。1階に入っている〈なか卯〉はウサギつながり？2階は〈CAFE Rabbit〉となっている。
地下1階、地上3階の洋風商業建築。その意匠も凝っており、頂には〈日光社〉のマーク、両袖にはマリア像、2～3階の付け柱の間には天使のレリーフが施されている。1階は車が入るよう間口が広く取られ、洋館ならではの道路面からの段差、それを小さくした造りも特徴。 
〈なか卯〉入口に注目！車のタイヤが描かれたステンドグラスは〈日光社〉時代の名残。 
2階の〈CAFE Rabbit〉には今から約70年前、ラビットスクーターの第1号機に乗る女優・高峰秀子のポスターなど貴重な資料が飾られている。現在全国のラビット愛好家たちの聖地となっているそう。ちなみに、ラビットとはスクーターのフォルムがウサギに似ていることから。
