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〈O2〉シェフ・大津光太郎が案内する、清澄白河の正解

ずっと住んでいる人、住み始めた人。今日ふらりときた人。いい街はどんな人にも優しく、活気に溢れている。清澄白河を愛するシェフ・大津光太郎がナビゲート。

初出:BRUTUS No.919『東京の正解』(2020年07月15日号)

illustration: Shinji Abe / text&edit: Asuka Ochi

飲み歩きも買い物も、
新旧が彩るクラフトの街

もともと清澄白河と門前仲町の間の深川生まれで、下町が好き。でも、2000年に大江戸線、03年に半蔵門線の駅ができるまでは、ひっそりとしたところで、若い世代が店を始めたり、感度の高い人たちが来るような場所になるとは思っていませんでした。

自分もここで新しい中華をやる意味があるかなと思わせてくれたのは、この街に新しいものと古いものとがちょうどいいバランスで共存しているからです。

清澄白河 MAPイラスト

清澄白河といえば〈ブルーボトルコーヒー〉が有名ですが、僕にとっての拠点は〈ARiSE COFFEE ROASTERS〉。ここに来れば誰かいてコーヒー片手に自然と井戸端会議が始まり、いろいろな街の情報を得ることができます。遠方からも訪れる人がいる名店であり、毎日のように通っています。

おいしいお酒を飲める店がポツポツとできて、はしごが楽しくなったのも、ここ最近ですね。自分が店を始めるにあたっては、すぐ近くのワイナリーを併設したレストラン〈フジマル醸造所〉の存在も大きかったです。店長もこの街出身なんですよ。

また、和食の〈酒と肴 ぼたん〉は味つけや食材の組み合わせのセンスも良く、勉強させてもらっています。女将が飲ん兵衛なのは、メニューからもわかるんじゃないかと。

〈Folkways Brewing〉のブリュワリーは店の奥に並ぶタンクを眺めながら、洗練された空間でゆっくりビールを楽しめます。ほかにも〈SIORI〉や〈Que c'est beau〉など、個性ある飲食店が昔ながらの街の雰囲気を守りながら、点在してでき始めています。

一方の老舗では、大正7(1918)年創業のおでん種の店〈美好〉の深川揚げをぜひ。おいしいですよ。

ここはもの作りの街でもあって、〈02〉の斜め前にも宮内庁の仕事も手がける特注家具〈ニシザキ工芸〉があります。クラフトの雑貨を集める〈ババグーリ 清澄本店〉では、器の作家を紹介してもらったり、銅のケトルなど愛用しているものも多いです。

06年にできた時には、近所に世界観を理解できる人が少なかったけれど、ようやく街が店に追いついてきた感じがありますね。もの作りの新しい流れを感じられる〈ten〉のようなセレクトショップもできました。
どこも気ままで、臨時休業の店が多いのも街の特徴。やってればラッキーくらいのパン屋〈oval〉はその代表格です。