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モデル・長井短が案内する、下北沢の正解

ずっと住んでいる人、住み始めた人。今日ふらりときた人。いい街はどんな人にも優しく、活気に溢れている。下北沢を愛するモデル・長井短がナビゲート。
初出:BRUTUS No.919『東京の正解』(2020年7月15日号)

Illustration: Shinji Abe / Text: Keiichiro Miyata / Edit: Asuka Ochi

朝から朝まで!
終わらないワンダーランド

下北沢デビューは高校1年生の頃。初めの印象は、ゴチャゴチャ、閉鎖的、暗い……。なんだか街に入っていきづらい空気が漂っていて、デビュー戦はどこにも入れず、下北沢南口商店街を3往復して帰宅した苦い記憶があります。

下北沢 MAPイラスト

そんな私が、我が物顔でこの街を歩けるようになったきっかけが〈下北沢ERA〉。19歳までバンギャとしてライブに明け暮れ、よくステージに立っていました。今でも、昼間からビール片手に、インディーズバンドの演奏を聴くのが下北沢時間の恒例。ここに立ち寄ると、街の一員になった気持ちになれる。

あとは、やはり下北沢といえば観劇ですね。本多劇場やスズナリが有名ですが、〈下北沢駅前劇場〉も忘れないでほしい。私の下北沢での初舞台も、ここ。たまたま成人式の日と重なり、共演者がお酒を振る舞ってくれたことなど思い出もたくさん。

小さな劇場で、最前列の桟敷に座ると「アレ、私も出演者?」と錯覚するほど。これからクルんじゃないかと予感させる劇団の公演も多い、まさに聖地。観劇とセットで楽しんでもらいたいのが、劇団関係者の憩いの場、〈三日月ロック〉。
居酒屋なのにサラダバーがあってヘルシー。奥の御座敷には自由に使えるギターが置いてあって、深夜になるとだいたい誰かが弾きだす。

5人以上で夜に繰り出す時は、予約なしで入れる〈珉亭〉。街の中華店としては100点の懐かしい味で、女性にはシェアにぴったりなボリューム。
時間が深まると、帰りを待つパートナーへのプレゼントとして、「〈NEROLIDOL〉で素敵な花買って帰ろう」と意気込みますが、実際は、〈NEROLIDOL〉の営業に間に合わず、買いそびれることが多いです……。

約10年、下北沢に通っていますが、今でも“馴染めね〜”と感じることがあるんです。きっと、これから訪れる際、同じ気持ちを抱く人がいると思うのですが、安心してください。そんな時のために、〈135酒場〉がある。

朝から飲める24時間営業で、おそらく東京いち安値。仲間うちでは、“0軒目”と呼んでいます。ここで勢いをつけて、それぞれの目的の舞台、ライブ、ファッション散策へ繰り出す。街の奥へ進むほど、ディープになっていくので、帰りたい気持ちがぶり返したら〈135酒場〉で気持ちを一度リセット!参考にしてみてください。