アートディレクター・大澤悠大が案内する、阿佐ヶ谷の正解

ずっと住んでいる人、住み始めた人。今日ふらりときた人。いい街はどんな人にも優しく、活気に溢れている。阿佐ヶ谷を愛するアートディレクター・大澤悠大がナビゲート。

Illustration: Shinji Abe / Text: Chisa Nishinoiri / Edit: Asuka Ochi

気づけば身近にカルチャーを感じる街。

2年ほど阿佐ヶ谷にあるギャラリー〈VOID〉の運営に携わっていたのですが、その間に感じたのは、阿佐ヶ谷はカルチャーが自然に、無理なく、街に溶け合っているなぁということ。

阿佐ヶ谷のショップマップ

例えば僕のある日。ギャラリーに出勤する前に、店名の由来にもなっているペンギン・カフェ・オーケストラの曲がずっと流れている〈ペンギンカフェ〉で仕事を片づけて(ここはWi-Fiや電源が完備されていて落ち着いて仕事ができる)、〈VOID〉で展示したアーティストが描くポスターが展示されることもある〈ジェラテリア シンチェリータ〉のジェラートをたまのご褒美に。

〈VOID〉のお隣〈FURUICHI/古一〉はアンティーク家具のお店。店頭ではよく店員さんが家具の補修をしていて、掘り出し物も出るのでちょくちょくチェック。ちなみに我が家の寝室の家具はこちらで購入。
はす向かいの〈TAV GALLERY〉は互いに行き来し合う仲良しギャラリー。若手の現代美術作家の個展やグループ展などを開催していて、〈VOID〉とはまた違った雰囲気のエキシビションが見られます。

阿佐ヶ谷は酒場の街でもあります。いちょう小路や阿佐ヶ谷スターロードなど、とにかく個性豊かな酒場がひしめき合っていますが、仕事終わりに一人でよく行っていた〈越川〉は、新鮮な魚の刺し身がおいしい居酒屋さん。1人前の刺し盛りも作ってくれて、生牡蠣とレモンサワーで生き返り、明日への活力に。

阿佐ヶ谷スターロードの入口付近にある〈青松〉は、連れていく作家さん、もれなくみんな大好きになる本格香港料理の名店。グループ展など大人数での打ち上げでよく行っていました。おすすめは海鮮あんかけチャーハン。

すぐ近くにある〈Roji〉はアーティストたちもちらほら集まるバー。週末にたまにイベントなどもやっていますが、友人がバーテンダーをしていたこともあり、平日のゆるい雰囲気が好きで木曜の夜(友人がカウンターにいる日)によく寄っていました。バーなのにしっかりとした食事が食べられるのも嬉しい。

昼も夜も活気溢れる商店街に、映画ファンから愛されるミニシアター〈ラピュタ阿佐ヶ谷〉も、その地下にある小劇場〈ザムザ阿佐ヶ谷〉も健在。阿佐ヶ谷は、アートやカルチャーなどのクリエイティブな薫りが街のあちこちから漂ってくる感じがします。