Visit

PR

Visit

訪れる

PR

製造の秘訣はクラシック音楽?国内外から注目を集める〈金七商店〉のカツオ節

勇壮な桜島の聳(そび)える錦江湾(きんこうわん)(鹿児島湾)を中心に、山海の双方に恵まれた鹿児島県。豊かな自然を生かし、ほかにない味を生む若き生産者たちが増えています。強い信念を持って日々に向き合う7組の生産者に会いに、県内を巡りました。前回の〈八千代伝酒造〉を訪れた記事はこちら

photo: Yoshikazu Shiraki / text: Sawako Akune

連載一覧へ

金七商店(瀨﨑祐介):カツオ節

我が子を育てるように、
日本の“旨味”のもとを育む

東シナ海に張り出した薩摩半島南部の町・枕崎。国内指折りのカツオの水揚げ港であり、古くからカツオ節の生産が盛んだが、時代とともに、その製造業者は数を減らしつつある。そんななか、「もっと多くの人にカツオ節を知ってもらいたい」と気を吐くのは、1955年創業の金七商店4代目・瀨﨑祐介さんだ。

金七商店の看板商品は“本枯れ節”の「クラシック節」。驚くほどに旨味が濃く、国内外の有名料理人も採用するこのカツオ節、製造には気が遠くなるほどの手間暇がかかる。原料のカツオをそれぞれの性質に合う時間で煮たら、手作業で骨を一本ずつ抜き、カツオのすり身を塗る。地階から地上3階まで4層になった部屋で1ヵ月ほどをかけて燻し上げた後に成形、さらに温湿度を管理した状態でカビをまとわせては天日干しを繰り返す……。

このカビつけの工程の際にクラシック音楽を流してカビの活性化を行うのが「クラシック節」だ。昔ながらの製法を踏襲しながら、新しいアイデアも取り入れた作りと味。カツオ節、そして“旨味”の文化を再認識させる存在だ。

「カツオ節はだしをとるものだから、料理になった時に目に見えない。そこにはお金をかけづらいという意識そのものを変えたい」と瀨﨑さん。一本ずつのカツオ節の状態をこまめに把握し、毎日の手入れを怠らず。まるで子供の面倒を見るように、今日も最高のカツオ節作りに励む。

鹿児島〈金七商店〉瀨﨑祐介
煙に燻され茶色に染まった室内。濃厚な香りが漂う。

金七商店

住所:鹿児島県枕崎市桜木町382 | 地図
TEL:0993-72-1894
Instagram:@kaneshichi_jp
HP:www.kaneshichishoten.jp/

金七商店の味に出会えるお店はこちら

aview Cafe & Flowers(鹿児島市)

カツカレープレート
桜島を望むカフェ&花屋。旬の食材を使った食事やスイーツが人気で「カツカレープレート」(1,200円)などに使う豚肉はふくどめ小牧場から届く。ローカルな食材も多く揃え、金七商店の「クラシック節」(860円)も購入可。

MATHERuBA gift(鹿児島市)

かつお節
店名に鹿児島の人やモノが“交ざる場”になるようとの願いを込められたセレクトショップ。現代の感覚にマッチする伝統工芸品、衣服などに交じって金七商店のカツオ節各種が手に入る。鹿児島らしいお土産探しに外せない一店。

連載一覧へ