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松江ではどの店にも置いてある「朝汐」ってナニ!?出雲の国のあんこ菓子

松江市内のほとんどの菓子舗にあるローカル銘菓「朝汐」の正体、中に潜むあんこの秘密とは。そして、この地で生まれたというぜんざいの成り立ちは?出雲発祥のあんこ菓子蘊蓄をご紹介。ぜんざい編はこちら

Photo: Mami Yamada / Text: Mutsumi Hidaka

どこの店にも置いてある"朝汐"ってナニ!?

彩雲堂〉〈三英堂〉の記事でも登場したのが松江銘菓・朝汐。一見ただの薯蕷饅頭だが、別物。白い生地の中は皮を除いてから本炊きする「皮むきあん」。こしあんに似ているが、薄墨色~藤色で味わいも淡泊かつ品が良い。朝汐あんとも呼ばれるこの餡、ほかではとんと見ない松江ローカルあんこだ。

今や市内のほとんどの菓子舗が作り、家庭ごとに贔屓の店があるほど地元に馴染んでいる朝汐だが、生みの親ははっきりしている。松江市寺町に本店を構える〈風流堂〉2代目がその人。日本海の大波が岩肌に打ちつけ引いていく様子に譬えて名づけたとか。

「昔は皮の厚さにムラをつけ、透けて見える餡や炊いた後に足す蜜煮の粒豆を波間の岩に見立てたとか」と〈風流堂〉の内藤葉子さん。

しかし、そこからいつどうやって松江中に広まったかは謎。鷹揚な人物だったという〈風流堂〉2代目のこと、町の発展に寄与するならばと見守ったのかもしれない。

風流堂

島根〈風流堂〉朝汐
ここが元祖!

明治23(1890)年創業。今も手作業でイモをむきすりおろして作る。餡に混じる粒豆がアクセント。4個入り1,037円。TEL:0852-21-3241

桂月堂

島根〈桂月堂〉朝汐
文化6(1809)年創業。専門の職人が手がける餡は透明感を求め何度も濾したもの。4個入り972円。TEL:0852-21-2622

福田屋

島根〈福田屋〉朝汐
大正2(1913)年創業。つくねイモ生地のふんわり感と、甘さ抑えめ滑らかな餡が好相性。5個入り1,188円。TEL:0852-21-4907