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奇奇怪怪の百貨戯典:世界を変えたイーロンと「優しさ」論

Podcast番組「奇奇怪怪」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第25回。前回の「莫大な富を築く絵本作家と資本主義論」を読む。

text & edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

イーロン・マスクって今何歳?

周啓

52歳だって。

TaiTan

じゃあ周啓くんとは違うね。

周啓

年齢を含むすべてが違うよ。

TaiTan

冗談はさておき今回は『マンガでわかる イーロン・マスクの起業と経営』を読んだわけだが、日本でもこういう人は生まれてくるのかね?

金持ちで自由でちゃめっ気があってヒールとしても受容されているという。前澤友作もホリエモンもそういう存在にはなり得なかった。果たして次に誰がそういう存在になるのか。

周啓

子供の頃から「あるべき世界の姿」を妄想していたらしいけど、そのあたりはスティーヴ・ジョブズやビル・ゲイツとも違うよね。自分の得意分野にコミットし続けて大きな結果を残したというより、最初から世界の構造自体を変えようとしている。

TaiTan

最も自由な人間を体現しているよね。Twitterというプラットフォームですら私有財産にできてしまうというのは、本当の意味での自由だよ。もはやここまで来ると次の成功者像が思い浮かばないな。……「優しさ」とか?

周啓

なるほどね。たしかに「優しさ」はあるな。マザー・テレサみたいな人か、あるいは個人ではなく複数の人々の優しさ。

TaiTan

ほう、と言うと?

周啓

イーロンのような金や権力を上回る慈悲の心を個人が持つっていうのはもはや不可能じゃない。でも、イーロンの手が届かないような細部で働く、細胞のような優しさが注目される時代が来るかもしれない。匿名の生活者たちの中に立ち現れる、マザー・テレサの慈悲の心……。

TaiTan

周啓くんをはじめとする匿名の人々の「優しさ」の時代が来る、と。

周啓

なんでお前は他人事なんだよ。

TaiTan

俺はどちらかといえばイーロン側だからさ。

監修、著:桑原晃弥『マンガでわかる イーロン・マスクの起業と経営』
監修、著:桑原晃弥『マンガでわかる イーロン・マスクの起業と経営』

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