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奇奇怪怪の百貨戯典:今改めて真剣に読み返す『100ワニ』論

Podcast番組「奇奇怪怪」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第23回。前回の「浜崎あゆみ・矢沢永吉・玉置周啓論」を読む。

text & edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

今回は久々におもろかったな。改めて『100日後に死ぬワニ』を読んでみたわけですよ。

周啓

この連載で取り上げた本の中で一番感動したよ。毎回ちょっと読むの嫌なんだけど、今回は読み返して泣いたからね。

TaiTan

だろ?俺はこの作品はもっと評価されるべきだったと思っていて。最後の顛末ばかり印象に残ってるけど、あれは画期的な発明だったと思うんだよな。要は、物語の一部の切り抜きから注目が集まる……っていう、NHKの朝ドラと同じことをTwitterでやってたわけじゃん。

周啓

ストーリーが我々の時間軸と同じように進んでたのもすごい。「自分も何日後かには死ぬんだな」って思いながら真剣に日々の生活を送るようになったね。

TaiTan

……それ本当か?

周啓

本当だよ!死ぬってわかってる主人公を100日かけて見届ける体験ってないじゃん。

TaiTan

その過程では鍋を食ってTVに悪態ついたり彼女とすれ違っちゃったりっていう些細な出来事が描かれるけど、最後には死ぬってわかってる。そう考えると、最後がああなってしまったのは罪深いな。結局、どうすればよかったんだ?最初はフォロワー数百人だったのに、異常な数の大人が寄ってきて……。

周啓

結局、ワニの死の悲しみに浸れなかったことにみんな憤慨したんだろうな。

TaiTan

あの顛末がなければあの作品はもっと普遍的なフォーマットとして流行ったはずだったよな。最後の一コマがなんだったのか、みんなで考察してた時間の愛おしさを俺は忘れたくないね。

周啓

たしかにね。

TaiTan

SNS史に残る作品だったよな。物語をどう終わらせるかっていうのは本当に難しいよ。

きくちゆうき『100日後に死ぬワニ』
きくちゆうき『100日後に死ぬワニ』

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