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奇奇怪怪の百貨戯典:「単位」は日本最古のギャル語論

Podcast番組「奇奇怪怪」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第17回。前回の「存在自体が動詞になるこんまり論」を読む。

text & edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

周啓くんは「単位」についてどう思う?

周啓

特に思うことはねえよ。

TaiTan

まあみんな一度は興味持ったことあるんじゃない?「タンス=1竿」「イカ=1杯」とかさ。

周啓

そういうのを楽しんだことはありますよ。「そういう数え方をするんだ」っていう発見の中に、機能性だけじゃなくて物の捉え方も見えてくるしね。

TaiTan

この『新しい単位』はフジテレビの番組から生まれた本なんだよね。世界単位認定協会っていう架空の団体を立ち上げて、「ラッキー度」とか「モテっぷり」とかに単位をつけていこうっていう……。この本が出た2000年頃のテレビって、ザギンでチャンネーとシースー、みたいな世界でしょ。

周啓

たしかに。そういうスラングってだいたい、コミュニティに仲間意識を発生させる装置として使われてきたしね。

TaiTan

フジテレビが新しい単位を決めるっていうのも、やっぱり業界用語のノリと変わらないんだよ。時代の流れもメディアの特性も感じる本でしたよ。

周啓

でも最近のボードゲームの流行とかは、今まで言葉にできなかった概念への共感度を測る、みたいなゲームが多くて。モヤモヤしたものに名前をつけて愛着を持つっていう文化は今も残ってるかもね。

TaiTan

そもそもさ、なんだっていいじゃない、単位なんて。でもその知識を知ってるかどうかによって人間に若干の優劣が生まれる。学生時代に仲間内で変な言葉を使ってるヤツとかいたけど、結局そういうのと変わらないんだよね、単位って。

周啓

なるほどね。知ってる人だけが共感し合える、みたいな。

TaiTan

要するに単位は日本最古のギャル語だったんだよ。

周啓

……いいのか、そんなオチで。

『新しい単位』書影
『新しい単位』

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