TaiTan
今日のテーマは「相田みつをから遠く離れて」です。都築響一『夜露死苦現代詩』を読んだわけですけども、周啓くんはどうでしたか?
周啓
巻末の、都築響一と谷川俊太郎の対談が良かったね。「詩とはメッセージではない」っていうのはすごく腑に落ちた。
TaiTan
あれは素晴らしかったね。この本で拾い上げている暴走族やラッパーによる“詩”を批判しているようにも読めるんだけど、谷川さんは「詩とはメッセージではなく言葉の存在感だと思っている」と。「目の前のコップと同じくらいそこに言葉を存在させたい」って言うんだよ。
周啓
ただそこにあることが美しい、と。暴走族の「夜露死苦」とかって自己表現の一つだし、そうなるとどうしてもメッセージが宿るからね。ただ一方で、アナウンサーの玉置宏さんの曲紹介を取り上げた章では「声はすぐに消えるから、その即興性が面白い」と書いていて。市井の人の声も詩になり得るんだ、っていうのは感じたね。
TaiTan
たしかに、谷川さんの言う“詩”は、「人間だもの」みたいなメッセージとは違うんだよ。市井の名もなき人の言葉を拾い上げたのはこの本の功績だよね。
周啓
こっちに向けられた言葉じゃなくて、そこにただ存在している言葉が美しい、っていうのは同意する。
TaiTan
最近『奇奇怪怪明解事典』にもさ、「昔は2人の話がどこにも向かってない感じが良かったのに、最近はリスナーを意識して笑ってる感じがして嫌だ」って批判コメントが来てたじゃん。一方で、その意見もちょっとわかるんだよ。
周啓
まあ、ミュートしたけどね。
TaiTan
これからも我々に対する批判コメントお待ちしております、ってことで今回の締めとしましょうか。