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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典:次の時代の “中心”を占う 雑誌文化論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第10回。前回の「辺境で生まれる 次世代のコラムスター論」を読む。

text&edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

今、手元にあるのが2004年に発行された『POPEYE』です。

周啓

文体が今と全然違うね。「潜入」とか「飛び込んでみた」とか、今の『POPEYE』は書かなそう。

TaiTan

この時代の『POPEYE』の編集方針が気になるな。

周啓

全体的にテンションが高いよね。「この時代の男たるもの、サウナは革ジャン着て入るべし」みたいなことが書いてあるし。

TaiTan

この時代ってフジテレビが圧倒的にノリをリードしていた時代じゃん?だから『POPEYE』のノリもフジテレビ化していた時代なんじゃね。

周啓

さっきの「!」が多い文体も『めちゃイケ』のテロップっぽいんだよな。

TaiTan

フジテレビ経済圏の余波が『POPEYE』にも来てた、と。そうなると、次に支配的な力を持つ文化の発信元ってどこだろう?

周啓

俺はNHKだと思う。予算と調査力が豊富にあるから、そこから次の時代をリードするプレーヤーが出てくる気がする。

TaiTan

NHKが得意とする「教養」も時代に合ってるしね。藤本タツキが時代の寵児(ちょうじ)になったように、今の文化の中心にいるプレーヤーは自身の哲学や知識を投影した作品を作っている。そう考えると、今後の文化の中心は"教養"と接続したものになるんじゃないか?

周啓

エンタメが多様化しているからこそ、軸になるような教養が求められているよね。80年代に流行った知識人の対談みたいなものが、次の「クール」になるんじゃない?

TaiTan

知識と教養で殴り合う、知のブレイキングダウンね。

周啓

『真剣10代しゃべり場』じゃん。

TaiTan

確かに、そう考えると次の中心はNHKだな。……この話おもれー。おもろすぎて死ぬかもしれないな。

POPEYE(2004年発行)
POPEYE(2004年発行)

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