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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典。中古書店の100円本を読む:サブカル的な逃げ場のないプロ野球論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第6回。前回の「拡声器から地声に変わった「スピーチ」論」を読む。

text&edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

今回はプロ野球回ということで。『ドラフト最下位』、読んでみてどうだった?

周啓

ドラフトの最下位で指名された人の下剋上の物語かと思いきや、そのままシビアなプロ野球人生を送る……というのがリアルだよね。スポーツの世界ってそう簡単にひっくり返ることがないし、「失敗したけど悪くなかった」と思わせるような描写が全然ない。わりと衝撃のルポだったね。

TaiTan

最下位指名から本当に何もなく引退してしまうのが事実なんだな、と思ったね。普通の人生だったら勉強や運動ができなくても「俺は音楽が好き」とか「カルチャーが好き」っていう選択肢があるけども、成績がすべてのプロ野球の世界では、サブカルチャー的な逃げ場もない。そこが残酷だよ。

周啓

しかも、自分の能力や素質だけじゃなくて、球団の方針にも左右されるじゃん。僕が印象に残ってるのは、中日ドラゴンズの清水って選手の話でさ。練習を積んでようやく一軍に上がったタイミングで、他チームから同じポジションの名選手が移籍してきて、出番がなくなっちゃうんだよ。

思ってもないタイミングで不運がやってきて、そのまま日の目を見ないで引退するっていう。プロ野球ってすごいお金とビジョンがうごめいてる世界で、一人の選手の物語っていうのはもちろん優先されないし、そこがリアルだなと思いましたね。

TaiTan

本当、悲壮感があるよな。ここには描かれてない人間的な部分をもっと掘り下げるとしたら、『ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision』で上出遼平さんに取材してほしい。

「ドラフト最下位飯」もいいけど、今度は「ドラフト1位飯」とかさ。面白そうじゃない?違うドラマがありそうじゃん。

周啓

すごいものを背負わせるな(笑)。

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