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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典:拡声器から 地声に変わった 「スピーチ」論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第5回。前回の「未来予測本の タブーに触れる “答え合わせ”論」を読む

text&edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

今回はAKB48・高橋みなみの『リーダー論』ということで。面白いなと思ったのは、中盤でたかみなの総選挙でのスピーチが全文書き起こしで載っているところだね。彼女がリーダーとして最も重要視していた、人に言葉を伝える技術が丁寧に解説されている。

周啓

たかみながスピーチにこだわる理由として「言葉でしか人はまとまらないから」って言ってたのが興味深かったね。昔から、芸能人がお世話になったタレントや先輩にTVの企画で感謝を伝えたりするのが理解できなかったんだけど、この本を読んで謎が解けたというか。

誰かが誰かに感謝しているとか、誰かが誰かに不満を持っているっていうのが言葉で表現されること自体が気持ちいいし、それもコミュニケーションの手段なんだなと思った。

TaiTan

たしかにね。さらに言えば、この本が書かれた2015年頃ってスピーチというもの自体がすごくありがたがられていたんだよ。TEDも流行ったじゃない。

周啓

ああ、なるほど。今はカリスマ的な存在もいないし、いわゆる「名スピーチ」みたいなものも生まれてないよね。

TaiTan

おそらく、スピーチは今YouTubeの「ご報告があります」とか「お話ししたいことがあります」に変わったんだよ。大勢の人に向けたパブリックなスピーチよりも、誰かが深夜ラジオでポロッとこぼした言葉とか、YouTubeで話す言葉とか、そういうプライベートに近い言葉に注目が集まっている。

いわゆる「スピーチ術」みたいな、拡声器を持ってアジテートするような言葉の使い方が通用しなくなったんだなと思いましたね。つまりね、「拡声器」から「地声」の時代に変わったということなんです!!!

周啓

大声で締めるなよ。お前がいちばんスピーチ術じゃん。

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