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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典:映画に投資した 〈ぴあ〉に見る ネオ・メセナ論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第3回。前回の「神に選ばれた おてんば女優と “最後の虚像”論」を読む

text&edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

今日のテーマは“ネオ・メセナ”論です。企業が利益以外の目的で行う文化支援活動を「メセナ」と呼ぶわけでございますわな。この『「ぴあ」の時代』にも、70年代から〈ぴあ〉が多大な文化貢献をしてきたことが書かれている。

その代表例がPFF(ぴあフィルムフェスティバル)。

周啓

インディーズ系の映画には、よくPFFの冠がついてるよね。

TaiTan

〈ぴあ〉は創業したばかりの頃から若手の映像作家の育成のためにPFFを立ち上げて、ほぼ利益も出ないのに続けてきた。その結果、犬童一心、塚本晋也……と、錚々たる映画監督を輩出している、と。

周啓

今はそういう会社もないよね。

TaiTan

ここ20年くらいで、企業はメセナよりもCSRに力を入れるようになったからね。でも今日言いたいのは「CSRもいいけど、メセナをもう一回見直そう」ってことで。韓国が国策としてカルチャーを支援して世界を獲った状況を見ると、20年、30年という単位で文化支援に投資する企業が出てきてもいいと思うんだよ。

周啓

とにかく目先の利益を追いかけて資本を膨らませるっていう時代も、そのうち終わるだろうしね。

TaiTan

それに「マリオ」みたいなキャラクターを生み出せるクリエイターを一人育てたら、向こう100年は利益を生み出し続ける巨大なIP(知的財産)になるわけじゃない。

CSRにお金を使うのもいいけど、文化に投資する方がリターンが大きいんじゃないか?というのを真剣に考えるべきだと思うんだよね。

周啓

マガジンハウスも、メセナに出資してほしいよね。

TaiTan

今回の結論はそれでいいじゃん。

周啓

僕にメセナしたい方は連絡してください。

TaiTan

玉置マリオ化計画ね。

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