TaiTan
まずこの『キャメロン・ディアス Forever Girl』を読んで思ったのは、彼女は“最後の虚像”だったんじゃないか、と。「最も稼いだハリウッド女優」で1位を獲得したこともある彼女なんだけど、あまり受賞歴がないんだよ。
「この人って結局なにがすごいの?」っていうのを誰も言葉にできないまま、存在だけが流通していた。
周啓
この本にも、演技力を認められるような場面はほとんど出てこないからね。にもかかわらず、とにかく価値だけが上がり続けていた。彼女自身も、自分が役者として映画に呼ばれているわけじゃないということに対して自覚はある。そこにプロ意識を持って、虚像として生きることを選んだという点ではすごい存在だなと思ったよね。
TaiTan
世間も「なんかよくわからないけどすごい人」っていうイメージに疑いを持たなかった。本人も「需要がなくなったらさっさとやめます」って言って本当に引退しちゃったわけだし、本当に一番強い、神に選ばれた人間だよね。
周啓
彼女はプライベートで鼻を4回骨折してるんだよ。そういうおてんばなキャラクターがあるから、作品にスキャンダル性を求めている映画人に呼ばれ続ける。それは彼女にしか目指せない方向性だよね。
TaiTan
そういう存在を面白がるカルチャーはないよね、今は。どっちかっていうと本人の思想性に価値が発生しがちだから。
周啓
逆にあと10年くらいしたら、またそういうキャラクターが求められるだろうね。すでに世の中は、キャメロン・ディアス的なものを渇望しているのかもしれない。
TaiTan
つまり「次のキャメロン・ディアスはあなたかもしれません」ってこと?
周啓
そんなコメントで締めるコラムはあっちゃいけないんだよ。
Podcastでは今回の100円本について、2人のさらなるトークが展開中。