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奇奇怪怪明解事典の百貨戯典:『心を整える。』と平成/令和の自己啓発書論

Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」のMONO NO AWARE・玉置周啓とDos Monos・TaiTanが、予算100円以内で売られている中古書を今この時代に読み返す連載の第1回。

text&edit: Daiki Yamamoto

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TaiTan

『心を整える。』は2011年に出て、150万部も売れた本ということで。周啓くんは当時読んでいたかい?

周啓

読んでないね。当時は野球部で、サッカー選手の言うことなんて信じられない状態だったから。

TaiTan

この本はね、極めて正しい本なんですよ。56項目にわたって「遅刻はしない」とか「読書ノートをつける」とか、ずっとその粒度のことしか書かれていないが、だからこそ教典としての強度は増している、と。

周啓

なるほど。

TaiTan

平成の自己啓発書には、おそらく抽象的な「心構え」の話が求められていた。10年経った今、令和の自己啓発書はどうなんだ?って考えると、具体的なライフハックの指南書が多いと思うんだよ。

周啓

平成は穏やかな時代だったんだな、と思うよね。ある程度恵まれた環境で大半の人が幸福に生きていく中で、実践的な技術よりも、思想とか心構えの話を渇望している人が多かったんだと思う。

TaiTan

そういう平成と令和の自己啓発書のトンマナの違いは面白いな、と。ただこの本にも、一つだけ具体的な行動を促す項目がある。それが「レストランでは裏メニューを頼む」。

周啓

すごい具体的。どういうこと?

TaiTan

常連のお店で裏メニューが出てくるような関係性を保つことで、心を整えよっていうことを指南してるんだよ。うれしくない?お店で裏メニューが出てきたら。

周啓

お腹いっぱいだったり好きなものじゃなかったりしたら、俺は心が乱れるっていうことは一応言っておきたいよね。

TaiTan

長谷部(誠)氏に?

周啓

長谷部氏にじゃない、これを読んでる人たちにだよ。

Podcastでは今回の100円本について、2人のさらなるトークが展開中。

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