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エッセイスト・平松洋子さんが巡る池袋西口の3つの中華フードコート〜前編〜

今、熱視線を集める池袋西口の中華フードコート。在日中国・台湾人好みの純度の高い地方料理を1フロアで食べ歩けるのが醍醐味だ。西口界隈に約20年通うエッセイスト・平松洋子さんが、3軒のフードコートを探訪。スナップとともに綴る、中国美食巡りの見聞録。

photo: Aya Tokunaga / text: Yoko Fujimori

平松洋子さんが巡る池袋西口の3つの中華フードコート

最近、池袋西口が“沸騰”している。2000年代初頭、中国の東北料理店などが台頭したことを機に都内屈指の中華タウンとして注目を集めてきた池袋西口。ここに中国各地の料理が一堂に会するフードコートが誕生したのだ。

1ヵ所で福建、四川、湖南、西安と、郷土の味が満喫できるありがたさ。現地の料理人が在住中国人へ向けて手加減なしで作る味は、旅がままならないこの2年、中華ファンの日本人の心もつかみ、話題のスポットとなった。

約20年にわたり池袋西口に通うエッセイスト・平松洋子さんもフードコートの面白さに惹かれた一人だ。
「ここは小吃(軽食)が多いので、ふらっと来て食べ歩ける。今まで中華料理はまず大人数で集まるのが大前提でしたが、職人が目の前で作る本気の味を気軽に一人で楽しめる、この恩恵だけでも大きいですよね」

現在、フードコートは3ヵ所。先駆けは2019年秋にオープンし、現在も連日大賑わいの〈友誼食府〉。続いて2021年6月、〈友誼食府〉と同ビル内に誕生したのが〈食府書苑〉だ。中国語の新聞を発行し、現地の書籍を扱う書店が開いた店。オーナーが腕のある料理人を集め、麺点師が作る北京伝統の胡麻餅など、質の高い料理が揃う。

〈沸騰小吃城〉は、土鍋や滷味(醤油煮)など中国全土の小吃を集めた最新店舗。隷書体が躍る真っ赤な看板がずらりと並ぶ店内の眺めもグッとくる。

「ここには中国の人にとっての日常がある。その日常にお邪魔する感覚かな」と平松さん。味も提供の仕方も“翻訳されていない”中華を肴に、平松さんは本日、どう旅するのだろう?

食府書苑

名料理人が集う本と美食の
穴場スポット。

2021年6月、中国専門書店の一角に開業。「本と美食は裏切らない」をテーマに北京、雲南、陝西、湖南など6店舗の伝統料理が揃う。西安のビャンビャン麺や涼皮、湖南名物・椒魚頭(鯛の頭の発酵唐辛子蒸し)」(要予約)も絶品。〈友誼食府〉と同ビルの2階。

友誼食府

池袋中華フードコート
人気の火つけ役。

中国・アジア食材店〈友誼商店〉隣に2019年11月に誕生したフードコートの第1号。「買い物帰りの在日中国人が休憩できる場を」とオーナーが店内の火鍋店の跡地に開業したのがきっかけ。上海料理〈大沪邨〉や伝統の四川料理〈香辣妹子〉、台湾料理〈匯豐齋〉など6店舗が入る。

沸騰小吃城

東西南北の料理が集う
最新型フードコート。

2021年9月にオープンした最新のフードコート。福清(福建料理)をはじめ東北や四川・重慶、雲南、湖南、湖北など中国全土の10都市以上が集まり、軒数は最大規模。QRコードでのメニュー注文や自動配膳カートなどの最新システムもテーマパーク的楽しさがある。