酢醤油、ゴマ、ユズコショウ。野菜多めで何個でも
旭軒 春吉店(福岡)
福岡で餃子といえば、鉄鍋餃子と答える人も多いだろう。しかし、それよりも歴史が古く、昭和30(1955)年から地元の人に愛され続けてきた名店が〈旭軒〉だ。中でも春吉店は特に餃子愛を身近で感じられる貴重な店。
9席のみのカウンターの中で餃子を包み続けるのは、松尾恵津子さんと姪の留理子さん。艶出し程度に油を含んだ軟らかい生地を、細く長くのばして小さく切り、次々に餃子の皮をのばしていく。先代のおじいさんの頃から、麺棒は水道管に使われる塩ビのパイプと決まっている。
皮から溢れそうなくらい餡をのせると、両サイドからビヨーンとヒダを寄せてきて2ヵ所だけとめる。一口餃子の食感を硬くしない、ベストなバランスだそう。餃子は営業中も包み続け、オリジナル木箱に美しく並べられていく。
餡は牛と豚の合い挽き、ニラ、キャベツと14種の調味料が入る。お肉はつなぎ程度で、圧倒的に野菜が多いサッパリとした食感。多くのお客さんが3人前30個をペロリと食べて帰る。作っても作っても追いつかないわけだ。
博多駅前の本店と、川端店は姉妹店で、水餃子もやっているが、春吉店は焼きと揚げのみ。焼きは酢醤油にゴマ、ユズコショウ、お好みでラー油少々でいただくが、何もつけなくてもおいしい。雷文で縁取られた皿にキャベツが添えられて出てくるのも嬉しい。餃子専門店だがツマミの手羽先と酢モツも名物なので、忘れずに注文したい。
焼き餃子1人前10個 450円。(寸)約6cm、(皮)薄、(ヒダ)2、(具)普。