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バーと温泉は相性抜群です。腕利きバーテンダーの宿〈草津温泉VAN〉で、創作カクテルと稀代の名湯を

自ら畑に立ち、食材を収穫するシェフのレストランがあったり、食卓に並ぶワインやビールを醸す醸造施設があったり、ワインや酒とのペアリングや、カクテルの提案をしてくれたり……。温泉宿に、おいしい楽しみ増えてます。


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photo: Kazuharu Igarashi / text: Emi Fukushima / edit: Rie Nishikawa

バーと温泉は相性抜群です

ペンションが点在する閑静な林道の一角に立つ〈草津温泉VAN〉。全4室からなるこの小さな温泉宿に看板はなく、洗練された佇まいはさながら一棟丸ごと隠れ家バーのようだ。

「コンセプトは“barに泊まり湯を頂く”。多彩なお酒を楽しんでもらいたいのはもちろん、カクテルを作るように、そこに食事や温泉など異なる要素を掛け合わせて、特別な宿泊体験を提供できたら」。そう話す代表の宮澤篤さんは、前橋のバーで研鑽を積んだ腕利きのバーテンダー。

ウェルカムドリンクから夕食とのペアリング提案まで、すべて自ら腕を振るう。多くの宿泊者が長く時間を過ごすバーは「アメリカ禁酒法時代のもぐり酒場“スピークイージー”をイメージした」という洞窟のような造り。

〈草津温泉VAN〉併設のバー
宿泊者はまずコンクリートの曲面天井が目を引くバーへ通され、ウェルカムドリンクを楽しむ。バックバーにボトルを並べないのは「種類や銘柄による先入観を捨ててお酒を楽しんでほしい」との思いから。

ここではぜひ創作カクテルを。特徴的な風味のアブサンをビギナー向けにアレンジしたものや、紅茶とスパイスを組み合わせたジントニックなど、宮澤さんの感性が光る一杯を堪能したい。

モダンな客室はいずれも露天温泉付き。草津で最大の湧出量を誇る万代鉱からの源泉かけ流しの温泉を独り占めできるのも嬉しいポイントだ。湯上がりは部屋のミニバーでしっぽり楽しむもよし、バーで美酒に酔いしれるもよし。時間を忘れて非日常を堪能できるはずだ。