SMAAK（馬車道）
オランダ×日本の食材で紡ぐ、新しい美味
窓から見下ろす“ザ・横浜”な景色はゴージャス。一方、木を多用した設（しつら）えは、明るく肩肘張らない雰囲気だ。オランダの3ツ星〈De Leest〉（現在は閉店）を筆頭に西欧各国で活躍してきたヤコブ・ヤン・ボエルマシェフが手がけるアジア初のレストランが馬車道にオープン。
「本日の鮮魚の一皿」写真は甘鯛。ケッパー、レーズン、ヴァドゥーヴァンのジュと、ライムの香りを添えて。ヴァドゥーヴァンは、ターメリックやカルダモンなどを含むミックススパイス。甘鯛のウロコの香ばしさに、塩気や甘味、異なる酸味とスパイス香を合わせた一皿。料理はすべて夜13,750円コースから（内容は時期替わり）。 
「アミューズ」タルトレット、味噌、ウニ、大豆、黒米。そっと持ち上げなければ崩れてしまうほど繊細なタルト生地に、濃厚なウニと醤油のゼリーシートを重ねて。味噌のムースと黒豆のパフが、おいしさをさらに重層的に。 
「サバの前菜」塩だけで軽く〆たサバを、シソ、キュウリ、クスクスなどが彩る。ウリのように太いキュウリはオランダでもポピュラー。ここでは日本産キュウリを生かし、ペースト、オイルなどで爽やかな味のレイヤーを生み出している。
日本人にとっては食のイメージが薄いオランダだが、豊かな自然に恵まれた農業大国。ヤコブシェフの料理も、野菜の表現が光る。一つの野菜をムースやゼリー、パウダーなどに展開し、オランダでポピュラーなスパイス、ヴァドゥーヴァンや味噌、だしの風味を掛け合わせ、蘭和が溶け合う一皿に。ドイツや東欧諸国を中心とした冷涼産地のワインを推すペアリングも面白く、透明感のある味が相乗する。
海風と国際色豊かな空気に惹かれ横浜を選んだというヤコブシェフ。共に古くからの交易拠点、異文化を取り入れ発展してきたオランダと横浜の気風は、なるほど相性がよさそうだ。
