Simplicité(代官山)
コースで8皿、寿司屋並みの魚種が登場。
3年間のフランスで星付きを中心に修業後、銀座〈レカン〉でスーシェフを務めるなど王道の世界で腕を磨いてきた相原薫さん。独立前、6年間厨房を任された荻窪〈ヴァリノール〉時代に魚の面白さに気づき、自らの店は魚中心で行くことにした。現在、12皿前後で構成されるディナーコースのうち、8皿以上が魚料理。攻めた内容だ。
ボタンエビは真空で塩締めに、サヨリは熟成させて昆布締めに。「生魚はレストランの料理にあらず」という古き良き厨房育ちだが、生でもソースと引き立て合う旨味をあの手この手で引き出す。軽やかな味を連想する盛り付けだが、塩がぴたりと決まり、だしの旨味や洋酒の香りが重なる多層的なソースは、クラシックを知る料理人のもの。
何よりサワラにカワハギ、アワビにクエと、寿司屋かという魚あれこれがフレンチで味わえるというのが新鮮!ワインは充実のシャンパーニュ、ブルゴーニュなどリッチな白がよき伴走役。