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グルマン温故知新:渋谷〈獅天鶏飯〉シンガポール×ポップな町中華

テーマごとにレストランを紹介するブルータスの人気連載。今回のテーマは「アジアン酒場ナチュラル派」。海南鶏飯の繁盛店が中華の要素を取り入れパワーアップ。「ナチュラルワインと」というのが今の東京らしい。「エスニック」とは違う、シンガポールの食文化を掘り下げた味をあれこれ気軽に。

photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Kei Sasaki

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獅天鶏飯(渋谷)

シンガポール×ポップな町中華。

渋谷駅すぐ、明治通りの雑踏を間近に見下ろす雑居ビルの2階。町中華を彷彿とさせる真っ赤なテーブルで、海南鶏飯をはじめとするシンガポール料理で飲める店がお目見え。新橋で、大衆酒場スタイルで人気を博した〈獅天鶏飯〉が渋谷に移転。彼の地で親しまれる広東ルーツの中華料理と、ナチュラルワインを揃えアップデートした形だ。香港の知られざるクラフトビールやクラフトな熟成紹興酒も揃い、酒選びの楽しさも十分。

店名にも掲げる海南鶏飯は、しっとりを超えた、みずみずしい火入れに驚くほど。店長で調理担当の佐藤一聖さんの、この料理に対する思い入れが伝わる。クミンやナンプラーなどのスパイス、調味料を使い、多民族国家・シンガポールの食の多彩さをにおわせる揚げ物や炒め物も秀逸。渋谷という立地を生かし、生産者が出店するマルシェで野菜を仕入れ日本の旬も盛り込むなど、カジュアルに楽しめる小皿に工夫が詰まっている。

渋谷〈獅天鶏飯〉店長で調理担当の佐藤一聖さん
佐藤さん。さまざまな飲食店勤務を経て、旅で一番心惹かれたアジアの料理を仕事にした。
渋谷〈獅天鶏飯〉店内
ちょっと上品な町中華、がイメージ。

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