新富町 湯浅(新富町)
旬魚とフカヒレの2本柱で勝負。
修業先を聞けば三田〈御田町 桃の木〉や〈筑紫樓 銀座店〉など有名店ばかり。どちらも4、5年、きっちり勤め、〈筑紫樓〉では副料理長として活躍した。さらに縁あって、独立前に築地の水産仲卸を手伝った時期もある。その全部が湯浅大輔シェフの血肉に。厨房での動きにムダがない。料理はどれも、シンプルで迷いがない。甘味と酸味がぎゅっと凝縮したたれで食べる黒酢の酢豚は芯までしっとり。「器使いは〈桃の木〉で多くを学びました」と、フカヒレ料理を織部焼の器で、という具合。
とりわけ力を入れるのは、旬魚の一品とフカヒレ料理。2キロ大のキジハタを1本、骨付きのまま約1週間寝かせて蒸し物に。フカヒレは前菜にスープ、姿煮と料理に応じて常時3~4種と、わずか20席足らずの店とは思えない仕事が、日々、ワンオペの厨房で繰り広げられている。手間もコストもかかる一皿一皿から、料理人の楽しさがバシバシ伝わってくるのだ。