生蕎麦 い志井(神楽坂)
割烹感覚で楽しむ、端正な蕎麦とつまみ
「蕎麦に関する仕事をしていた父の影響で、蕎麦や和食に親しんで育ちました」と話す大森聡義(あきよし)さん。蕎麦に和食と約20年の修業を経て、赤城神社の近くに店を構えた。静かな路地に飛び石と植栽を整えたアプローチが清々しく映える。L字のカウンター中心の店内も、品の良い割烹のようで神楽坂らしい。
蕎麦打ちにおいて大切なことは「技術以上に、“合理性”に流されないこと」と話す。無農薬栽培の蕎麦粉を丸抜きで仕入れ、石臼で挽き十割で打つ。香り高くしなやかな蕎麦が店の矜持(きょうじ)だ。つまみも、数を絞って味を磨き上げる。ニシンの棒煮一つにしても黒糖でまろやかな甘味に仕上げ、鴨ロースやマグロのヅケなどは彩りに添えられる旬菜の一味が楽しい。
酒は燗上がりする純米推し。アラカルトのほかに、豆皿つまみ5種と蕎麦、甘味が付く「季節の盛り合わせ」もあり、一人利用時でもいろんな味と酒がゆっくり堪能でき、満足度が高い。