御料理 ほりうち(四谷三丁目)
華もひねりもある全素材が主役のコース。
「女に料理人は無理だ」と言われながら、修業すること20年。厳しい世界に身を捧げ、カニ、フグ、スッポンと格闘しながら、神楽坂〈ざざ〉では調理長を経験した堀内さやかさん。
この時期コースは鱧ざくと鱧そうめんに始まり、スッポンのスープを張ったふるふるの茶碗蒸しに続く流れ。合間には故郷・山梨の郷土食「鳥モツ煮」やこんにゃくのアヒージョも登場。家庭で食べられる身近な食材を、店でしか味わえないプロの料理で堪能させる手練れぶりだ。
松茸のしゃぶしゃぶでは、骨抜きと骨切り2種の鱧を食べ比べ。アラも余さず、新鮮なうちに煮詰めて白湯風に。カツオ節を効かせただしは、鱧本来の持ち味をどこまでも引き立てる。
素材への探究心も人一倍、豆腐や油揚げにも愛情を注ぐ堀内さん。「彩りや飾りだけにしない、器に盛る食材はすべて主役。脇役はいません」と、きっぱり。華やかで、ひねり上手。凜とした仕事ぶりは、誰もが惚れる。