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2021年の「副読本」。【デジタル化を推進する新省庁が発足】を読み解く3冊

一冊を何度も読み込むという読書の深め方もあれば、ある出来事について書かれたいくつかの本を読んでみるのも深める読書の一つといえるはず!ここでは、2021年にあったニュースをBRUTUSが独自にピックアップ。こんな裏側が⁉実はそういうことだった⁉そんな新たな視点や学びを得られる本をそれぞれ3冊ご紹介。

Illustration: Kanta Yokoyama / Text: Asuka Ochi, Keiko Kamijo, Ikuko Hyodo, Junya Hirokawa, Ryota Mukai

これからのデジタル社会に備える教科書

「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を掲げ新設されたデジタル庁。各省庁のデジタル化や行政手続きをスマホで1分以内に完結させるなど、デジタルトランスフォーメーション(DX)を担う。暮らしもデジタルで大きく変わる?(藤井保文・ビービット執行役員CCO/東アジア営業責任者)

『音楽が未来を連れてくる 時代を創った音楽ビジネス百年の革新者たち』

榎本幹朗/著

本格化の予感が漂うデジタル化。果たして世界や暮らしは、どのように変わるのでしょうか。音楽業界は、CD販売からデータ販売への移行やサブスクの導入も圧倒的に早かった。デジタル化の先端を走る音楽業界の変化を体系的にまとめた『音楽が未来を連れてくる 時代を創った音楽ビジネス百年の革新者たち』を読めば、これから訪れるデジタル社会のイメージが湧いてきます。

『音楽が未来を連れてくる』榎本幹朗/著
エジソンの蓄音機から中国発のポスト・サブスクまで、常に技術革新の矢面に立たされ、革新を起こし続けてきた音楽業界をテクノロジー視点で紐解けば、デジタル社会を迎えるヒントが見えてくる。DU BOOKS/¥2,750

『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』

小川さやか/著

一人一人に合わせて細分化したサービス提供が可能なデジタル社会では、人々の状況を精度高く捉えることが価値。デジタルを活用して新たな信用経済を築いた香港のタンザニア人コミュニティに迫った『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』のような文化人類学的アプローチはその手がかり。ユーザー理解の極致です。

『チョンキンマンションのボスは知っている』小川さやか/著
5棟の大規模複合ビルを舞台に、SNSや電子マネーを使いこなし、香港にいながら本国の顧客とやりとりする香港のタンザニア人ビジネスマン。彼らのコミュニティを捉えた、文化人類学者によるエッセイ。春秋社/¥2,200

『えれほん』

うめざわしゅん/著

『えれほん』はデジタル化が行きすぎた世界が舞台のSF漫画。IP(知的財産)警察が登場する「かいぞくたちのいるところ」は、どんなポジティブ、ネガティブが生まれるかという思考実験に役立ちます。

『えれほん』うめざわしゅん/著
自由を問う3つの短編と掌編を収録したSF漫画作品集。第2部「かいぞくたちのいるところ」は、著作権原理主義ともいえるほど知財管理が行きすぎた未来。3テーマからディストピアを描いた。幻冬舎コミックス/¥990