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「ハードリカー大図鑑」フルーツブランデー編。 まるで“飲む香水”、土着の洗練を香りから感じ取る

フルーツブランデーの定義は多様だ。発酵させるフルーツはブドウ以外の果実全般で、ジュニパーベリーのようなジンに用いられるものまで含まれる間口の広さがある。フランス・アルザス地方ではオー・ド・ヴィー(命の水)と呼ばれ、東ヨーロッパでは村の共同蒸留所で造られる。そんな土着の洗練を、香りから感じ取ってみたい。

Illustration: Shinji Abe(karera) / Photo: Shin-ichi Yokoyama / Text: Akio Mitomi, Chise Nisinoiri, Ryota Mukai / Edit: Kaz Yuzawa

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ヴォルフベルジェール オー・ド・ヴィー フランボワーズ
(ヴォルフベルジェール蒸留所)

意外な香りはまるで海苔の佃煮!?
香気成分の魔法です。

注いだグラスを嗅ぐと感じる香りは、海苔の佃煮!フランボワーズにも含まれる香気成分ジメチルスルフィドが蒸留の過程で偶然、日本人がよく知る香りになったのだ。

フルーツブランデー〈ヴォルフベルジェールオー・ド・ヴィーフランボワーズ〉
ヴォルフベルジェール オー・ド・ヴィー フランボワーズ | 45度、700ml。

メッテ フランボワーズ、メッテ キルシュ、メッテ エグランティン
(JP・メッテ蒸留所)

職人的なこだわりから生まれた
本格派のオー・ド・ヴィー。

左からラズベリー、チェリー、バラのオー・ド・ヴィーはそれぞれストレートにフルーツの香りが楽しめる。アルザスの伝統と名匠の技を現代に伝える逸品たち。

フルーツブランデー〈メッテ フランボワーズ〉〈メッテ キルシュ〉〈メッテ エグランティン〉
メッテ フランボワーズ、メッテ キルシュ、メッテ エグランティン | 各45度、350ml。

ラ・ポワール・デュ・ルーロ
(ジャンマルク・ルーロ)

ムルソーのトップドメーヌに伝わる、
幻の酒が復活。

ブルゴーニュでトップクラスのムルソーを醸造するドメーヌの現当主が、19世紀から伝わるレシピで造るジューシーなオー・ド・ヴィー。エチケットはモダンに。

フルーツブランデー〈ラ・ポワール・デュ・ルーロ〉
ラ・ポワール・デュ・ルーロ | 45度、500ml。

ラ・フランボワーズ・デュ・ルーロ
(ジャンマルク・ルーロ)

鼻に抜ける香りは、
まるで生のままのフランボワーズ。

同じく秘伝の製法を復活させたオー・ド・ヴィー。フランボワーズを発酵させず、粒選りの実をそのまま漬けるため、果実そのままの香りがたっぷりと楽しめる。

フルーツブランデー〈ラ・フランボワーズ・デュ・ルーロ〉
ラ・フランボワーズ・デュ・ルーロ | 45度、500ml。

マスネ オー・ド・ヴィー ポワール・ウィリアム
(G・E・マスネ)

洋梨の実が見るからに可愛いビジュアル系の
オー・ド・ヴィー。

アルザス地方で造られる洋梨のオー・ド・ヴィー。果実の香りだけでなく茎の風味も感じられ、甘苦い重層的な風味が楽しめる。写真は若い実入りのボトル。

フルーツブランデー〈マスネ オー・ド・ヴィーポワール・ウィリアム〉
マスネ オー・ド・ヴィー ポワール・ウィリアム | 40度、700ml。

Column

ジャン=ポール・メッテの
遺志を継ぐ者たち。

ジャン=ポール・メッテが1960年アルザスで小さな蒸留機からスタートした〈メッテ〉。
フィリップ・トラベが98年に引き継ぎ、佐多宗二商店の「AKAYANE」シリーズなど世界に影響を与えたが2018年急逝。現在は妻のナタリーと息子のティモテーが製法を受け継ぐ。

オー・ド・ヴィ界の第一人者 ジャン=ポール・メッテ

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